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記事2007年4月13日 2062号 (8面) 
ユニーク教育 (172) ―― 京北学園白山高等学校
プロジェクト・ベース学習
学習能力、表現力など育成

川合校長

京北学園白山高等学校(川合正校長、東京都文京区)の研究発表会(主催=東京私立中学高等学校協会 東京私学教育研究所)が、「生徒の意欲を高める授業の研究」を研究主題に三月十四日、同校で行われた。
 同校は平成十三年から千葉大学教育学部附属教育実践総合センターと協力し、「新しい教育」活動に取り組み、翌十四年から上杉賢士・同大学大学院教育学研究科教授の指導による「プロジェクト・ベース学習」が始まった。この「プロジェクト・ベース学習」はアメリカのチャータースクールで実施されている学習方法で、同校が日本で初めて導入した。生徒が自分で選んだテーマを半年かけて研究し、三学期にはパワーポイントを駆使して、そのテーマを選んだ理由、調査して分かったこと、そして今後の課題などについてプレゼンテーションする取り組みだ。同校は創立以来、「自ら学びを創り(自己学習能力)、相手を理解し(コミュニケーション能力)、自分の言葉でしっかりと表現できる(プレゼンテーション能力)人間」づくりを目指すため、新しい教育を実践している。「プロジェクト・ベース学習」はその一環として行われているものだ。
 この日は、一年生の発表が四件、三年生の発表が二件、そして、ゲストとして卒業生の発表が行われた。
 一年生の発表は、(1)「ウサギの生活」(竹尾之伸君)、(2)「アルコールの危険性」(白坂昭博 矢部巽君)、(3)「酸性雨について」(種市雪春 古橋孝哲君)、(4)「地雷について」(石塚翼 小野悟司 三上竜麻 瀬野恭平 佐藤大祐 馬場寛之 藤井洋輔 山田京太郎 小谷悠君)――。
 (1)ウサギを飼っていた竹尾君は、ウサギの種類や食事、病気などを知りたかったことが動機で、ウサギの生活について調べた。竹尾君は各種のウサギの性格を紹介し、食事をバランスよく与えることの重要性などを発表した。
 (2)アルコール度数によって、人がどのような状態になるかを報告した上で、「今後は病院や警察のことを調べたい。一回作った作品を何回も作り直したことが苦労した」と感想が出された。
 (3)酸性雨のできる原因や、酸性雨の地球に対する影響を調べた上で、「今後は、動物に対する悪影響を調べたい」とまとめた。
 (4)地雷禁止条約について調べ、五十カ国がまだ調印していないことなどを報告。地雷撤去作業にも触れ、「地雷撲滅キャンペーンをもっと広めたい」と希望を述べていた。
 三年生による発表では、「保育士について」(高梨優樹君)は、「保育士は笑顔で、子供と一緒に遊ぶことが大事です。今できることは今やらなければならない」と、保育園での体験を基に報告を行った。「伝統芸能花祭りについて」(安雄樹君)も、体験を通して、「地域との交流を広げることが素晴らしいことが分かった」と意欲的な発表だった。
 また、卒業生の當間達也さん(城西大学一年)は、「プロジェクト・ベース学習」が大学で非常に役に立っていると、感想を述べた。
 上杉教授はアドバイザーとして、「三年生と卒業生の発表は、自分の言葉で述べており、非常にレベルアップしていた。一年生はこの先、どう行動するかが大事だ」とアドバイズ。
 川合校長は「最後に可能性は自分で行動しなければ、ものにならない。それぞれの能力を生かしてほしい」と一年生に呼び掛けた。
 三年生や卒業生の経験を踏まえた発表は、同校が目指す、社会で活躍できるための人材育成へ大いに役に立っていることを証明していた。
 その後、白山会議室で研究集会。杉原米和教頭が「学校創りとプロジェクト・ベース学習」、池田信一郎教諭が「学年としての動き」、潮〆幹教諭が「国語科としての取り組み」の報告があり、質疑応答が活発に行われた。


「酸性雨について」の発表

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