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記事2007年3月3日 2058号 (7面) 
教委の私学に対する指導・助言の改正案に反対
私学の自主性確保東京都が要請
私学への関与不適切
指導権限付与は目的に反する
中央教育審議会で教育委員会の見直しが検討されている中で、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」について、教育委員会が私立学校に対し、指導・助言・援助を行うことを可能にする改正が論議されているが、これに対し、東京都は適切でないとの考えから文部科学大臣等に対し要請を行った。

 私立学校の所管については、伊吹文明・文部科学大臣が、未履修問題(文部科学省、中学での必修教科の履修状況調査)について、「(私立学校は)カリキュラム編成などのチェックが必ずしも十分でない。私学といえども税金を私学助成費としてもらって、日本の法律のもとで義務教育をなしている限りは、同じようにやっていただかなければならない」(二月二十七日、衆議院予算委員会)と発言している。
 一方東京都では、都議会の質問に対し知事が、「私学の自主性を侵すべきでない」との答弁を行い、二月二十七日、「私立学校の自主性の確保に関する要請について」と題し、内閣官房長官、教育再生会議座長、文部科学大臣、中央教育審議会会長に対し、次の要請文(全文)を提出した。東京都は、このことに関し、以下の理由により適切でないと考えるものであり、かかる改正を行わないよう強く要請する。
 ○私立学校は、建学の精神に基づいて、幼稚園から大学に至る一貫教育や男女別教育など、個性的で特色ある教育を実践し、今日の高い評価を得てきたが、これはひとえにその自主性が尊重されてきたことによるものである。近年、公立学校の教育改革において、一貫教育や習熟度別授業など、私立学校の教育成果が広く取り入れられているのはその証左である。
 ○今回の教育委員会の見直しは、本来、公立学校の教育改革を目的とするものであり、私立学校に対する指導権限の付与は、本来の目的とは全く関連のないものである。
 ○本来、公教育は公立学校と私立学校が対等な立場で競い合い、互いに切磋琢磨してこそ発展するものである。公立学校の設置者である教育委員会の指導の下に私立学校を置くことは、私立学校の自主性・自律性を損なう恐れがあり、教育に対する多様なニーズに対応することを困難にするものである。

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