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記事2007年3月23日 2060号 (8面) 
ユニーク教育 (171) ―― 宣真高等学校
仏教精神に基づく思いやりの心
実用能力重視の教育



 大阪・池田市にある宣真高等学校(高岡義雲校長)へ最近、一通のファクスが届いた。同校が会場になった「いけだサイクルフェスタ」に参加した人からの礼状だ。
 「『最後尾はどこ?』と尋ねるや『お先にどうぞ』と導かれ、その心遣いに涙が出るほど感動をおぼえました。サイクルフェスタではなんの賞にも入らなかったけれど、それ以上に宣真高校の皆さんから沢山の温かい触れ合いやかかわりを得ることができました。本当にありがとうございました」
 同校が地域に貢献する、その結果、地域にも喜ばれる、そして学校も喜ぶという、地域・学校・家庭が三位一体で取り組んでいる成果の現れだ。
 「仏教精神を基盤に、女性の特性を尊重しつつ、豊かな人間性と高い学力を確立させること。個性を十分生かし、自己の可能性を発揮できる分野で自己表現を図ること。スキルをしっかり身につけること。これらによって、どんな困難にあっても乗り越えられる、自信に満ちた生きる力が育つにちがいないと思っています」と高岡校長は、仏教的精神に基づく思いやりの心と、実用的能力を重視する。
 そのための取り組みとして、「ソフィア・ラーニングコース」「看護系進学コース」「保育系進学コース」「ウェルネススポーツコース」「標準コース」――この五つのコースを中心に、学習プログラム、進路計画を立てている。
 「ソフィア・ラーニングコース」は、生徒の希望進路に対応させるために、平成十八年度に従来の特進コースが生まれ変わったもの。入学時からF系(著名私大受験系)とC系(センター入試受験系)とに分け、三年間の一貫した学習計画を組み立てている。
 「看護系進学コース」は、看護科のある大学・短大、看護専門学校などの看護師養成校へ進学することを目的としている。各学年を通して病院での看護体験で実践力を養成し、進学してからも役立つ授業を実施するカリキュラムを、一年から設けている。病院からの信頼も厚い。
 「まず体験から入る」という実践力重視の方針に基づいて、毎年「看護体験」(「ふれあい看護体験」「高校生一日看護体験」)を開催している。生徒たちは現場の迫力に圧倒されながらも、自分たちが目指す看護師という仕事の素晴らしさを実感し、再確認する機会となっている。
 昨年三月、第一期生に希望者全員を進学させたのが「保育系進学コース」だ。併設の宣真幼稚園での保育実習をはじめ、実技科目が多く設定された独自カリキュラムが魅力的だ。また、同校教諭が保育技術検定委員の一人となっており、同校で同検定一級取得を目指すことができるのが強みだ。この検定を取得していると、大学・短大のAO入試等で威力を発揮しているという。
 保育フェスタ06「第二回なでしこ劇場」では、このコースの生徒たちが人形劇、ブラックライトシアター、ミュージカルなどを中心に、演技発表会を行った。生徒たちの熱演に幼稚園や保育所の子供たちは大喜びし、生徒たちも大感激だった。
 「将来スポーツトレーナーやインストラクター関連の仕事に就きたい」――そんな生徒のためのコースが、「ウェルネススポーツコース」だ。このコースの最大の特徴は、従来専門学校でしか取得できなかったキネシオテーピングトレーナー・指導員の資格を、日本の高校で初めて三年間で取得できるカリキュラムを設定していることだ。注目科目は、芳香による予防医学療法の一つであるアロマセラピーのコーディネーター認定試験にも対応し、注目を浴びている。
 「標準コース」は、一年次では基礎学力を徹底的に養成し、二年次から総合と文系進学(大学・短大)のコースに分かれる。特に総合コースでは、資格取得に結びつく選択授業(販売士・秘書・食生活アドバイザー・トリマーなど)が設定されている。また三年次にはこれから社会に出て役に立つマナー講座も用意されている。
 同校は女子生徒の長所を大切にしながら、女子校の持つ利点を十分生かし、女子教育を貫くという意欲を持ち続けている。



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