こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2007年3月23日号二ュース >> VIEW

記事2007年3月23日 2060号 (2面) 
二〇〇七近畿圏私立中学入試結果
今春は受験者が増え女子校に人気
志願者約五千人増加
志望校絞り込みで厳しい入試
近畿二府四県(大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山・兵庫)の統一入試二年目となった二〇〇七年近畿圏私立中学入試は一月二十日にスタートした。今年は近畿圏でも小学校卒業者数が増え、二〇〇二年以来五年ぶりに二十万人を上回る二十万二千七十七人となり、日能研関西の推定によれば、中学志願者総数は五万九千九百五十人と昨年より約五千人も増加した。そのうえ、大半の私立中学が試験日を初日に設定し、受験生が志望校を絞り込んだため一段と厳しい入試となった。昨年は、難関男子校の一つ、洛南高校附属の共学化などもあって女子の共学志向が高まったが、今春は女子校人気も復活。後期入試や難関コースなどでも受験者が増えた。


 日程的には昨年より一週間遅れて始まった今春の近畿圏私立中学入試は、二府四県で百三十九校ある私立中学のうち百二十校が二十日の初日に試験を実施した。日能研調べによると、受験生がダブらないこの二十日時点での私立中学受験者総数は京都・大阪・兵庫の三府県で約一万八千六百人(昨年比六%増)となっており、小学校卒業者数に対する受験率は一一・四%(昨年一一・三%)で昨年より〇・一ポイント増加した。さらに、滋賀・奈良・和歌山まで含めた二府四県の二十日の受験者総数は昨年より二千人増の二万千人で、受験率は一〇・六%(昨年一〇・〇%)と、昨年より〇・六ポイント上昇した。京都・大阪・兵庫の受験率に比べて近畿圏全体の受験率の上昇率がわずかに高いのは、昨年都心に集中ぎみだった受験生が地元に戻ったのではないかとみられる。ここ数年、進学校の共学化の影響で共学校の人気が高まっていたが、今春は女子校の人気が難関校から中堅校まで高まり、二十日入試の女子校の総受験者数が昨年より二七%も上回った。一方男子校は、兵庫県の灘、甲陽学院、六甲、奈良の東大寺学園、京都の洛星などの難関校では志願者数が昨年とほぼ同じで、安定した人気を示している。また男子校の間で三科目入試が広がってきたのも今年の特徴となった。
 府県別で見てみると、京都で志願者が増えたのは、男子校では洛星、女子校ではノートルダム、同志社女子、聖母学院、共学校では同志社国際、洛南高校附属など。目立って志願者が増えているのがノートルダムで前期・後期合わせて一〇〇人ほど増加している。京都女子は安定した人気だった。今年から京都成安は設置者変更に伴い名称も変えて京都産業大学附属となり注目された。
 ちなみに今春の京都市内の公立中高一貫校の志願者数は、府立洛北高附属が四六〇人(昨年より五七人減)、市立西京高附属は九二〇人(同五三人減)、南丹市に昨年開校した府立園部高附属は七七人(同三五人減)といずれも減少している。
 大阪で志願者が増えたのは、男子校では清風で、三科目・四科目選択入試にして若干増加。女子校では大阪女学院、帝塚山学院、四天王寺、プール学院などで志願者が増加した。このうち四天王寺は従来の二日間入試をやめ、今年は二十日だけの入試とし、「英数U」「英数T」にコースを変更、定員も削減、「英数U」は昨年の二倍近い六〇七人の志願者を集めた。大阪女学院は全日程で一、一七一人の志願者があった。帝塚山学院は関学大との提携コース「関学コース」の人気が高かった。大阪星光学院、高槻は志願者こそ減らしたが人気は変わらず高い。共学校では、大阪桐蔭、金蘭千里、清風南海、関西大倉などで志願者が増えた。大阪桐蔭はユニーク入試・前期入試で大幅に増加。清風南海のスーパー特進・特進、大阪桐蔭の英数選抜、成績上位者を集める特定のコースでは昨年同様受験者が集まった。

入試欠席率が年々低下
兵庫女子校は前年度比27%も増加


 兵庫は男子難関校の人気の高さは変わらない。志願者の大幅増はなかったものの、入試当日の欠席率が年々低下傾向にあるのが特徴だ。これは大阪星光、京都の洛星でも同様だった。それだけ受験生の側の志望校の絞り込みが厳しくなったとみられる。二十・二十一日に入試をした灘は、志願者数が五八〇人(昨年五七七人)と昨年とほぼ同じとなった。志願者が増えたのは男子校では三田学園、淳心学院、滝川、など。
 今年から三科目入試にした淳心学院の志願者は二六七人と、昨年より七二人増加した。
 女子校は、昨年は志願者が減少傾向だったが、今年は全体に志願者が増加し、難関校の神戸女学院をはじめ、松蔭、小林聖心、武庫川女子大附属、親和、賢明女子学院、神戸海星などで志願者が増えた。武庫川女子大附属は今年から「スーパーサイエンス」など三コース制を導入して人気となった。今年、兵庫県の女子校受験者合計は昨年と比べて二七%も増加した。共学校で志願者が増えたのは、仁川学院、神戸龍谷、須磨学園、滝川第二など。仁川学院、神戸龍谷、須磨学園は後期日程で志願者が増えた。

近畿圏の受験率は僅かずつ上昇傾向
難関男子校は受験絞りこみで少数精鋭の競争


 奈良は、男子校では西大和学園が二十一日に三科目・四科目選択、二十二日に三科目入試を行い、昨年より志願者増となった。東大寺学園は二十二日に三科・四科選択で実施、統一入試の影響で志願者は減少傾向にある。共学校では、帝塚山、奈良学園で志願者が増加。帝塚山のコース別受験は昨年減少したが、今年は復活して増加している。奈良学園は今年前期A・Bおよび後期入試を行い、昨年の九〇〇人弱から増えて今年は計一、〇九四人の志願者があった。奈良では、昨年は近畿圏統一入試の影響が大きく出たが、今年は入試日やコース設定などを工夫したことで盛り返した結果となった。滋賀では、今年立命館守山が開校、入試も京都の立命館、立命館宇治と同じく内申書重視で自己推薦タイプの「かがやき入試」を実施したため、一般枠はかなりの難度となった。和歌山は県内の六校が二十日に統一して入試を行ったため、総志願者が減少傾向となっていた。
 近畿圏統一入試に先立って入試が行われる岡山県の中学入試では、岡山理科大附属、清心、岡山、岡山白陵のいずれも志願者を大きく増やした。
 日能研関西、進学情報課の小島一彦課長は「難関男子校は受験校の絞りこみの結果、少数精鋭での闘いとなった。今年、特に女子校人気が復活したのは、一つは人気校の四天王寺が単日入試となったこと、共学校の女子の難度が年々高くなったことが要因ではないか。新学習指導要領から五年が過ぎ、近畿圏の小学校卒業者の中学受験率はわずかずつだが上昇傾向にある」と話している。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞