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記事2007年3月13日 2059号 (2面) 
経済財政諮問会議 競争的資金の比率増
大学等改革を論議
政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三・内閣総理大臣)は、二月二十七日、我が国の成長力強化との観点から大学・大学院改革について話し合った。この日は臨時議員として伊吹文明・文部科学大臣も議論に加わった。このなかで日本経団連会長の御手洗冨士夫・キャノン株式会社取締役会長や伊藤隆敏・東京大学大学院経済学研究科教授ら四人の民間有識者議員は、研究予算の選択と集中を進め、国際的に評価の高い研究者が審査する体制を整えることや、競争的資金(一律ではなく評価に基づく配分)の割合を少なくとも平成二十二年度までに現行制度の二倍(科学技術関係予算の約三割)、文系・理系の区分の撤廃、入試日の分散化、九月入学の実現、国立大学法人と私学を区別せず、国の支援は大学の努力と成果に応じたものになるよう大胆な転換などを提言した。伊吹大臣は、提言に異論はないが、大学の努力と成果をどう評価するかは難しい問題とした上で、大学の多様な取り組みを支援するような形、文部科学省が一つの方法を打ち出すようなことはなるべき避けたいとした。
 安倍総理は、「骨太の方針二〇〇七」に意欲的な大学改革のプランが盛り込まれるよう、教育再生会議とも連携を取って精力的に議論をしてほしいと発言した。また尾身幸次議員(財務大臣)は、私立には授業料しかなく、国立には施設も人件費も全部国が出している格差を何とかしなくてはいけないとし、採算性から私立には文科系学科が多く、科学技術という面から見ると、私立大学のポテンシャルが科学技術の発展にほとんど寄与していないとして、改革の必要性を指摘。甘利明議員(経済産業大臣)は、大学が産業界との対話を拡大し、変化への対応を加速すること、国際的に魅力ある開かれた大学を目指すこと、大学は地域や広域経済圏のイノベーション・教育のコア、複線型の人生設計や学び直しを支えるため大学教育の仕組みの柔軟化、複線化などを提案した。大学支援が競争的支援の比重を更に強めることについて大学関係者からは基盤的支援の後退を危惧する意見も聞かれる。

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