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記事2007年2月23日 2057号 (1面) 
地教行法など3法案改正検討
教委の私学関与焦点
中高連等 自主性尊重強く要請
免許更新、管理職は免除
政府が三月十三日に閣議決定、国会提出を予定している「学校教育法」、「教育職員免許法等」、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の各改正案の骨格が二月二十一日に明らかになった。同日開かれた中央教育審議会(山崎正和会長=LCA大学院大学長)の教育制度分科会・初等中等教育分科会合同会議で、文部科学省から説明があったもの。私学関係者が注視している教育委員会による私立学校への関与強化に関しては、二月十六日に同省が初めて委員に提示した改革案よりも私立学校の自主性を意識した内容ではあるが、依然、教育委員会による「専門的な指導・助言・援助」との文言は残っており、私学関係者は角を矯めて牛を殺すことがないよう=A私立学校の自主性・独自性尊重を同省と中教審に求めていく方針だ。

 二月二十一日の会議では、地教行法改正案作りを担当する同省プロジェクトチームの尾撫t樹チームリーダ(財務課長)が、改正の方向を示した中で、私立学校と教育委員会の関係について、「首長の私立学校に関する事務のうち、学校教育に関する専門的な指導・助言・援助については、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を尊重しつつ、首長の求めに応じ、教育委員会ができるようにすること」との改革案を提示した。二月十六日に同省が提示した地教行法改正に関する検討事項では、「首長と教育委員会の連携により、私立学校に対しても教育内容等について専門的な指導・助言ができるようにしてはどうか」との文言だった。
 二十一日の委員による討議では、私立学校と教育委員会の関係について、「東京都では公立高と私立高が半々。支援はできても指導・助言は難しい。公立学校、私立学校がどうあるべきか論じないと解決できない」(中村正彦・東京都教育委員会教育長)、といった意見が出されたほか、両分科会の副分科会長の田村哲夫渋谷教育学園理事長は、「私立学校は戦後六十年間、いわば放っておかれた。そのため教育の実験ができ、中高一貫や帰国子女教育といった教育が生まれた歴史的事実ある。未履修問題については今まで通りではいけないと考えているが、助言・援助くらいが、一番効果がある。公立の通りとはいかない。いい結論を出してほしい」と語った。
 一方、教育職員免許法等の改正の方向については大木高仁教職員課長が説明したが、普通免許状・特別免許状に十年の有効期間を設けること、現職教員等からの申し出により更新することができること、免許管理者は、免許状更新講習を修了した者、免許状更新講習免除者でなければ更新をしてはいけないなどとしている。同時に教育公務員特例法を改正して指導力不足教員の人事管理を厳格化することにしており、任命権者は、教育や医学の専門家、保護者ら第三者からなる判定委員会の意見を聞いて「指導不適切教員」の認定を行うこと、指導不適切教員には一定期間(例えば一年間)研修を実施すること、研修の期間は過度に長期にならないよう実施期間を政令で規定すること(例えば最長で二年)、任命権者は研修終了時に指導の改善の状況について認定を行うこと、研修終了時に指導が不適切と認定した者に対して、免職その他必要な措置を講じる、としている。
 更新講習は大学が開設することや、講習時間を三十時間とすることなどは今後、省令やガイドラインなどで規定されることになるが、更新講習免除者の範囲等も含めてワーキンググループで詰めていく予定。
 両分科会の梶田叡一分科会長(兵庫教育大学長)は、「(教員への)締め付けで教育が良くなるというのは暴論。子供の前に立つ先生が張り切ってやれるように制度を作る」と語り、大木課長も「努力してしっかりやっている力のある教員については、更新講習の免除を積極的に考えていく」としており、また教頭や校長といった管理職在任中は更新講習を免除する方針。
 また従来からの十年次研修は引き続き実施するが、更新講習と内容面で重ならないようにする。
 学校教育法の改正に関しては、常盤豊教育課程課長が改正の方向を説明した。義務教育の目標規定を新設するほか、学習指導要領の小・中学校の目標規定を改め、例えば国語の正しい理解と使用する基礎的な能力などとしてはどうか、としている。義務教育の年限は現行どおり九年とすることを前提に、その趣旨を学校教育法に規定すること、学校評価や保護者等への情報提供の実施を規定すること、副校長、主幹、指導教諭を置くことができる規定の新設などを提案している。
 中教審では二月二十五日の日曜日に総会と両分科会合同会議を開き、さらに審議を深めるほか、二十七日には大学分科会を開き大学団体等から学校教育法の改正に関して、翌二十八日には学校教育法の改正について日私中高連など私学団体等から意見聴取するほか、国民からも意見を募集することにしている。

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