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記事2007年2月13日 2056号 (7面) 
ユニーク教育 (170) ―― 熊本フェイス学院高等学校
「ハートに○」をつけもっと 幸せに
心を磨くためレディース・プラン



 「人は、他人からほめられると心に〇(マル)がつき、けなされると×(バツ)がつきます。だれでも、心の中には○と×がたくさん混在しています。過去に誰かによってつけられた、あるいは自分が経験した、成功体験と失敗体験です。そして、この○と×がその人の心の中に壁や枠を作って、その人を支配するようになります。人の得意、不得意はこうしてつくられます。だから、心の中の○の数が増えると、いろいろなことに取り組む自信がわいてくるのです」
 熊本フェイス学院高等学校(熊本市)の飛松政明校長はこう熱く語る。
 同校は、いま飛松校長の方針に基づいて、生徒一人ひとりが自分の心にたくさんの〇をつけて、自分に自信をつけて、もっと幸せになる≠合言葉に、楽しい学校生活を送ることができるように取り組んでいる。
 「自分の心にたくさんの〇をつけることを『ハートに○』と呼んでいます。実際に〇は、勉強でも、あいさつでも、掃除でも、家での手伝いなど、どのような小さなことでもいいのです。毎日、一つでもいいから形として残すようにすれば、学校に来ることが楽しくなるのではないか」
 生徒が一日を振り返って、「ハートに〇」がついたと思う出来事を最低一つ「『ハートに〇』の実践記録」に書きとどめるようにしている。生徒たちが行った〇は、自分が努力してうまくいったこと、ありがたいと思ったこと、朝きちんと起きることができたこと、ご飯を食べられて今日も体の調子がいい、大きな声であいさつができた、友人と楽しく会話ができた、困っている人に手を貸してあげて喜ばれた――など、さまざまなことを挙げることができる。
 同校では「明るく、温かく、骨惜しみせず」を生徒像に掲げているが、「ハートに〇」の実践は、まさにこのような目指す生徒像の実践といえる。
 毎月第三土曜日に行っている「レディース・プラン」も、生徒のやる気を引き出し、心を磨くための、一つの試みとして力を注いでいる。「レディース・プラン」では、「母」をテーマとし、講演、シンポジウム、体験発表、体験学習などを通して、保育・栄養・美容・マナー・コミュニケーションスキル・出産・育児など、より実践的な内容を生徒、保護者、同窓生、そして教職員が一体となって取り組んでいる。ここには「健全で心豊かな女性」「生きる力を身につけた女性」の育成を目指そうという思いが込められている。
 「先日、生徒三十人に『ハートに〇』の体験発表をしてもらいましたが、感動しました」と飛松校長の顔はほころぶ。
 「勉強ができるようになることも大事ですが、その前提は人間です。『ハートに〇の実践』は、『心の教育』につながると思うのです。教育は人間関係が重要で、その関係を積み重ねていく時間が必要だと思います」
 今年、同校は百二十周年を迎える。創立以来、一貫して女子教育に取り組んでいる。「ハートに〇」の実践を行い、できてよかった、ありがたい、と確認すると〇がつく。この毎日の積み重ねによってチャレンジ精神がわき、それでもっと幸せになる≠フではないか。同校は楽しい学校で、活気に満ちていた。



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