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記事2007年12月3日 2084号 (1面) 
教員養成のあり方、年明けから抜本的に再検討
梶田中教審部会長言及研修体系の見直し
教職課程の設置基準も
中央教育審議会の梶田叡一・教員養成部会長は十一月二十九日、年明けから教員養成のあり方を抜本的に見直していく意向を明らかにした。
 これは同日、都内で開かれた同部会で明らかにしたもの。十年経験者研修を含め教員の研修体系のあり方、専修免許状取得者への優遇措置、教職課程の設置基準の見直し等を進めていく方針。
 中教審は昨年七月に教員養成・免許制度改革の答申をまとめ、教員の資質向上に向け、(1)教職課程の質的水準の向上(「教職実践演習」の新設・必修化など)(2)教職大学院制度の創設(3)教員免許更新制の導入政策が進められたが、これら三点セットは、平成二十年度ないし二十一年度からの実施が決まったことから、その後の課題について検討に着手する。また国立大学の教員養成学部卒業者のうち、教職に就く者が四割に留まっていることや、私立大学での教員養成に比べ三倍の経費を要することなどから、財政当局から国立大学での教員養成に風当たりが強まっていること、教育再生会議でも教員養成をめぐる論議が行われていることなどが教員養成のトータルシステムを考える要因となっているようだ。
 教員研修に関しては、平成十四年に教員免許更新制の実施を見送った代わりに、実施が決まった十年経験者研修については、平成二十一年度から免許更新講習が本格実施されるのを受けて、公立学校現場等から廃止を検討すべきだとする意見などが出ている。また大学と教育委員会との間でこれまで十分な連携が取られていない点の改善のねらいもあるようだ。
 また梶田部会長は、来年四月から十九校の開校が決まった(正式認可は十二月三日)教職大学院について、来年五月ごろに志願状況や入学状況、入学者のうち現職教員の割合などを把握し、意見交換したいとした。教職大学院は、実践的指導力を持つ新人教員の養成とともに、現職教員を対象にしたスクールリーダー(中核的中堅教員)の養成が大きな特徴だが、地方財政の悪化から教育委員会による現職教員の派遣が厳しくなっており、梶田部会長は「このままでは、仏作ったが、魂が入らないことになる」と教職大学院への将来に懸念を表明した。さらに教員養成に関する博士課程創設や学部と修士課程を合わせた六年一貫の教員養成課程の検討についても言及した。博士課程について梶田部会長は自らが学長を務める兵庫教育大学等による博士課程を持つ連合大学院をスタートさせることなどを明らかにした。

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