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全私学新聞

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記事2007年12月3日 2084号 (1面) 
中教審、学習指導要領の改訂で42団体から意見聴取
日私中高連 私立中高一貫教育にも特例措置を
学校の裁量権拡大
学校に総合的サポート必要
中央教育審議会初等中等分科会教育課程部会(部会長=梶田叡一・兵庫教育大学長)は、十一月二十七日および二十九日に、「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」に対するヒアリングを行い、四十二団体が意見を述べた。私学関係では、全日本私立幼稚園連合会、日本私立小学校連合会、日本私立中学高等学校連合会、日本私立短期大学協会が出席。「生きる力」についてはおおむね賛同意見が多かったが一層の明確化や概念の共有化が求められた。私立中高一貫教育についは教育課程編成の弾力的運用などを求めた。また今回の改定が後戻りしている感があるとの意見も挙がった。

 全日本私立幼稚園連合会は教育研究委員会の東重満副委員長が次のように述べた。小学校との円滑な接続については、幼稚園と小学校では教育の方法論が異なることを明確にさせていただきたい。また、特に家庭での生活が多様になる中、預かり保育も大きな課題となるなど、幼稚園に求められる役割が大きく変化している、幼稚園教育を再構築する視点が欠かせない。特別支援教育については、幼児教育センター的機能の支援体制を充実させるなど基盤整備の必要性を強調していただきたい。最後に、今回の幼稚園教育要領が、後戻りする実践という感じがする、などと東副委員長は述べた。
 日本私立小学校連合会からは平野吉三会長が意見を述べた。校内暴力等子供が暴走した反省から、ゆとり教育を進めてきたことから、今回の改訂を見ると同じことが繰り返されるのではと懸念する声もある。学力についてもOECDのランクばかりが意識されているが、基礎的な学力は落ちていないと考える。ただ、表現力・判断力・思考力等が弱いのではないか。新しい時代にふさわしい教員養成が大事ではないか。力を付けることについても、その人に合った力をどう付けるかが大切だ。教育も、企業、社会、行政を含めて子育てをどうしていくか、学校をどうサポートしていくか、そういう総合的・複合的な支援・教育を考えることが必要だ。安心して子育てができる社会システムをぜひ作り上げていただきたい、などと平野会長は述べた。
 日本私立中学高等学校連合会からは近藤彰郎・制度・調査部会長と久保田宏明・教育制度委員長が出席。提出した意見書の中から「中高一貫教育の教育課程の弾力化」と「各学校の裁量権の拡大」に絞って話した。
 「中高一貫教育の教育課程の弾力化」については、法令上の中高一貫教育校のみに認められている教育課程編成の弾力的運用を、既存の私立中高一貫教育校にも準用できるよう特段の配慮をお願いしたい。具体的には中高一貫教育に関するまとめに、例えば「中高一貫教育おける教育課程編成上の特例措置については、現行制度上の中等教育学校等にその特例措置を限定することなく、同一設置者の下にある中学校と高等学校間の教育課程編成の連続性に確保について、その実態を反映した措置を今後検討する」としていただきたい。「各学校の裁量権の拡大」については、中学校の学年制を高等学校に準じて大綱化・弾力化するなどの方策を視野に入れ、各学校の裁量の余地を柔軟に認めるよう求めたい、などと述べた。
 日本私立短期大学協会からは関根秀和副会長が次のように述べた。
 迎え入れた学生の、問題意識の立ち上がりが非常に難しい。「生きる力」という概念を教員、生徒、保護者との間で共有化していくことが大切だ。「生きる力」という概念の記述では、子供たちが今、この時代にこの世界で生きているということの現在位置が見えてくることによって学習動機が強まってくるのではないかと思う、なお一層適切なコンセプトの展開をしていただきたい。
 第二点は、「課題と取り組む思考力・判断力・表現力等の育成」を、学科目を横断して意図的に計画・展開していく場合、責任体制の明確化が必要だろう。
 第三点は、学習評価をする場合、思考力等の狙いが実現しているかについて評価する方法と、教育方法へのフィードバックが大切だ。狙いに即した学習評価の方法についても指示あるいは見解をいただきたい、などと関根副会長は述べた。
 このほか国立大学協会が、大学入学資格としての高等学校卒業の意味が大きく低下したとして、大学と高校の教育をジョイントさせる仕組みを考える大学関係者と高校教育関係者の協議の場を設けるよう求めた。

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