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記事2007年12月23日 2086号 (1面) 
私学事業団「今日の私学財政」を公表
大学法人 3割強で支出が収入上まわる
高校法人では49・5%にも
日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)はこのほど、平成十四年度から十八年度までの学校法人の財務状況の推移や傾向をまとめた報告書『今日の私学財政』を公表した。報告書は「高等学校・中学校・小学校編」と「大学・短期大学編」の二分冊。報告書によると、大学法人、短大法人、高校法人、中学校法人、小学校法人では人件費を削減するなど経営努力が伺えるが、帰属収入で消費収支を賄えない法人の増加傾向は続いており、私学経営の厳しい状況が続いている。

 学校種ごとに財務状況をみると――。
 (大学法人)一法人当たりの資産は十四年度の四百四十八億三千九百万円から五年間で三億三千万円、〇・七%増加した。
 構成比でみると、五年間に土地や建物といった有形固定資産が五九%の水準で依然推移しているが、各種の引き当て特定資産といった、その他の固定資産の比率は一・八ポイント上昇し二五・八%に、流動資産の比率は一・八ポイント下降し一五・三%となった。一法人当たりの負債総額は五年間に七・二%減少し六十八億八千六百万円に。基本金も増加傾向で五年間に五・九%増加した。一法人当たりの消費収支差額の支出超過額は、六七・二%増加していた。
 消費収支状況をみると、一法人当たりの帰属収入は平成十七年度に増加したものの、十八年度は再び減少に転じ一・二%マイナスの百七億一千六百万円。内訳では学納金が減少し、補助金、手数料収入の減少も続いている。
 消費支出は十七年度に続き十八年度も増加している。人件費の抑制(五年間で二・六%減)に努めたものの、教育研究経費の増加傾向は続いており、基本金組み入れ額は十七年度の増加から十八年度は再び減少(二・七%)に転じた。帰属収入で消費支出を賄えない大学法人は十七年度に比べ二十九法人増え、集計法人(五百十六)の三二・四%と初めて三割の大台に達した。単年度の赤字経営≠ェ即座に経営危機にはつながらないが、経営が窮迫していることに違いはなく、同事業団では収支改善の努力を強く促している。
 (短大法人)短大法人の資産は、五年間に八・〇%減り、十八年度は一法人当たり八十一億二千二百万円となった。
 構成比率でみるとこの五年間にその他の固定資産が四・二%増え、流動資産は一八・七%減少している。とりわけ現金預金の減少が顕著。一法人当たりの負債総額は五年間に一三・四%減少したが、基本金も五年で一・八%減少した。
 消費収支差額の支出超過額は十四年度の二億円から十八年度には五億七千五百万円へと一八七・五%も増えている。
 消費収支状況では、一法人当たり帰属収入の減少傾向に変わりはなく、消費支出も五年間で七・〇%減少している。基本金組み入れ額は毎年交互に増減を繰り返している。
 帰属収入で消費収支を賄えない短大法人は十七年度の五十一法人(三四・七%)から十八年度には六十五法人(四五・八%)に増加している。
 (高校法人)一法人当たりの資産は五年間、ほとんど変わりはなく、負債は十七年度までの減少傾向から増加に転じた。基本金は、十七年度に減少となったが、十八年度は二・〇%の増加となった。一法人当たりの基本金額は四十七億八千二百万円。一法人当たりの消費収支差額の支出超過額は十八年度で六億二千九百万円。
 消費収支状況をみると、一法人あたりの帰属収入は減少傾向にあり、学納金、補助金の減少が影響している。消費支出は人件費が三・一%減少したが、教育研究・管理経費が五・二%増えたため消費支出全体では五年間ほぼ横ばい状態。
 帰属収入で消費支出を賄えない法人は十七年度と同水準の四九・五%。
 (中学校法人・小学校法人)中学校法人、小学校法人自体が少ないことから集計法人数がそれぞれ十前後と極めて少ないが、消費収支状況をみると、中学校法人では帰属収入がわずかに増加。学納金や寄付金の増加などに支えられたものだ。基本金組み入れ額は十七年度に比べ四二・五%のマイナス。消費支出も減少している。帰属収支差額は再びわずかだが収入超過となった。
 小学校法人では資産は一年間で三・五%増加、負債も一年間で二四・四%増えている。消費収支差額は僅かに収入超過を維持している。
 消費収支状況では帰属収入が一年間で一六・三%、消費支出も同様に一五・六%増えていた。

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