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記事2007年12月13日 2085号 (1面) 
中教審・基本計画特別部会  私学団体等から意見聴取
数値目標検討を
国公私立の均衡ある発展方策必要
中央教育審議会の教育振興基本計画特別部会(部会長=三村明夫・日本経済団体連合会副会長)は、十二月五日、東京・港区のホテルで会合を開き、先に公表した教育振興基本計画案について、教育関係団体や経済団体など三十四団体から、意見や要望などのヒアリングを行った。私学関係団体からは、計画案の中に「私学振興」が盛り込まれているのを受け、公私間の格差是正に向けた私学助成の確実な拡充や具体的な施策を明記するよう求める意見が相次いだ。

 全日本私立幼稚園連合会は、幼児教育と小学校以降の義務教育の接続について、両者では教育の質や内容が異なり、その独自性や特性を保障しつつ、円滑な接続が行われることが望ましいと述べた。幼児教育の約八割を私学が担いながら税投入がアンバランスな現状については、多くの保護者がなるべく少ない負担となるような取り組みを求めた。また、子育て支援が「子育て肩代わり支援」にならないようにすること、幼稚園が改正教育基本法の中で「学校」に位置づけられたのを受けて、「就学前教育」を「小学校入学前教育」と改めることを要望した。
 日本私立中学高等学校連合会は、計画案のなかで、家庭や地域が教育力を低下させた要因を分析しないままに、学校・家庭・地域の主体的役割分担を説いても説得力に欠けると指摘。むしろ学校の主体的な役割を示すほうが現実的かつ実効的だと述べた。さらに、国公私立学校教育の均衡ある発展方策を示す必要があり、公私格差是正実現へ、私学助成の着実な拡充に向けた施策、それを担保できる財源を計画の中に明示するよう求めた。
 日本私立大学団体連合会は、計画案の中で「社会の成熟化に伴って生じてきた課題」と位置づけられた「個人の目的意識の不明確化、学習意欲の低下、学力・体力の低下、規範意識・倫理観の低下」について、我が国固有の問題であり、その原因を徹底的に分析することが必要と指摘した。
 私学振興が、「安全・安心で質の高い教育環境を整備する」という項目のなかの一文として言及されている点については、別項で明確に論じることを求めた。また、学士課程の質の向上・保証とあわせて、中学校や高等学校修了時の質保証もその前提として必要になると述べた。
 日本私立短期大学協会は、基本計画の実施が、他の行財政改革の影響を受けないよう要望。計画案のなかの「学士課程教育等」という記述について、四年制大学教育だけが大学教育と受け止められる表現であり、「短期大学士課程教育」も明記するよう求めた。さらに、私学助成の確実な措置を現実的なものとするため、数値目標を盛り込むことの検討を促した。
 全国専修学校各種学校総連合会は、計画案では、職業教育における専修学校・各種学校の位置づけや役割、機能があいまいなままであるとし、位置づけを明確化した上で、具体的な政策や達成目標を盛り込むことが必要だと指摘。すべての学校種に共通する方策と、専修学校・各種学校に固有の方策を区分して明記するよう求めた。
 高等教育の充実・強化については、国立大学協会が、二〇三〇年に高等教育への五兆円投資を実現するという長期的見通しのもと、計画に明確な資金投入の目標額が設定されることを要望した。

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