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記事2007年11月3日 2081号 (1面) 
学習指導要領改訂で中間報告
思考・判断・表現力など育成
主要教科 授業時数を増加
中学校では選択教科削減
小学校から高校までの学習指導要領等の改訂について検討中の中央教育審議会教育課程部会(部会長=梶田叡一・兵庫教育大学長)は、十月三十日、審議の「中間報告」をほぼとりまとめた。今後、文言を一部修正のうえ十一月七日の初等中等教育分科会・教育課程部会合同会議で正式決定する。その後、関係団体からの意見聴取やパブリックコメントを経て、文部科学省により学習指導要領等の改訂作業が行われ、告示される。新学習指導要領等の全面実施の時期について同省教育課程課は、「小・中学校に関しては早くて平成二十三年度から。高校は未定。過去の例からするとそれ以降となる」と話している。経過措置等は未定。
 今回の「中間報告」では、子どもたちの現状に関して、国際的な学力調査で読解力や記述式の問題に課題があり、学力の低下傾向が見られたことなどから、授業時数を増加し、基礎的・基本的な知識・技能の習得のほか、思考力・判断力・表現力等の育成のため観察・実験やレポートの作成、論述など教科の知識や技能を活用する学習活動を充実させる必要があると指摘。また学習意欲の向上や学習習慣の確立、豊かな心や健やかな体の育成のための指導充実などを求めている。ただし授業時数は増やすが、学年間の反復学習など繰り返し学習や、観察・実験やレポートの作成、論述といった知識・技能を活用するための学習活動などに充てる方針。
 このうち小学校に関しては、「国語」、「社会」、「算数」、「理科」、「体育」について授業時数を増やし、第五・六学年で「外国語活動」(仮称)を新設する。その一方で「総合的な学習の時間」を現行の三分の二に縮減する。この改訂が実施されると小学校六年間の標準授業時数は現行の五千三百六十七単位時間から五千六百四十五単位時間へ二百七十八時間増加する。(小学校の標準授業時数検討素案2面に)
 中学校に関しては、小学校と同様、「国語」、「社会」、「数学」、「理科」、「外国語」、「保健体育」で授業時数を増やす。
 とりわけ「外国語」は一学年から三学年まで百四十単位時間(週四コマ、現行は百五単位時間・週三コマ)となり、国語や数学などを上回る単位時間数となる。「総合的な学習の時間」に関しては第一学年で五十単位時間、第二・三学年では七十単位時間となり、三年間の合計は百九十単位時間(現行は二百十から三百三十五単位時間)に大幅減する。また現行では百五十五単位時間から二百八十単位時間の幅で設けられている選択教科等は基本的になくなるが、「総合的な学習の時間」の中から、第二・三学年で三十五単位時間(週一コマ)を上限に選択教科等に当てることを認める。
 このほか中学校の「体育」でダンスと武道が必修(一・二学年)となる。中学校三年間の総標準授業時数は現行の二千九百四十時間から三千四十五時間となる。増加する授業時数の確保策に関しては、各学校や設置者の裁量により多様な取り組みができるようにすることが適当としている。
 高校に関しては、いわゆる未履修問題をきっかけに高校教育現場から期待の強かった学習指導要領の大綱化・弾力化について、そうした期待に十分応えた内容とはなっていないが、高校教育では、生徒の多様化が進展していることから、必修科目について単位の縮減を可能とする。また地理歴史では引き続き「世界史」を必修として、普通教科「情報」に関しては、情報に対する倫理的な態度や安全に配慮する態度、規範意識の育成を特に重視し、科目構成を「社会と情報」「情報の科学」の二科目を設ける。
 専門教育に関しては、各教科を通して横断的に、体験的学習を通して実践力の育成、資格取得や有用な各種検定、競技会等への挑戦等、目標を持った意欲的な学習を進める。地域産業や地域社会への理解や貢献の意識を深めさせる。職業人としての人間性育成に努める。
 このほか学校週五日制は維持、また「…の事項は扱わないものとする」とのいわゆる学習指導要領上の歯止め規定については、発展的な内容を教えてはいけないとの趣旨ではないことが分かりにくいため記述の仕方を改めるよう求めている。

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