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記事2007年11月3日 2081号 (8面) 
ユニーク教育 (178) ―― AICJ中学・高等学校
すべての教科を英語で授業
価値ある貢献できる国際人養成
古い町並みが残る、風情豊かな祇園の町、そして、緑に包まれた閑静な環境に学校法人AICJ鷗州学園 AICJ中学・高等学校(竹村健一理事長、キャロリン・ソロモン校長、広島市安佐南区)は位置している。
 訪問した九月八日には、ちょうど入学説明会が行われていた。この日は、体育館が受験生やその保護者で埋まるほどだった。その席上で、ソロモン校長はあいさつの中で、「世界で羽ばたける人間になってほしい」と訴え、このために、(1)日本のトップの大学を目指す、(2)日本人としてのアイデンティティーを大切にし、日本を尊敬する人間に育成する――の二点を強調した。
 また、平岡優一副校長は「自立と貢献」が教育目標であるとした上で、「世界の名門進学校を目指す」「バイリンガルに育てる」「日本を含む世界の名門大学への道を開く」「日本人としてのアイデンティティーを大切にする」「グローバル社会のリーダーに育てる」――の五項目が同校の目指す最終ゴールだと述べた。
 AICJ中学を卒業すると、(1)AICJ高校の「国内難関大学進学コース」か、(2)AICJ「海外名門大学進学DPコース」か、または(3)AIC高校ニュージーランド校への進学か、通常はいずれかの道を選択する。
 どのコースでも重要視されるのは英語教育だ。英語教育には特に力を入れている。ネーティブ教師による本格的なイマージョン教育は、その一つだ。イマージョン教育とは、英語を習得するために英語漬け≠フ環境をつくりだすことだ。英語を指導する場合、単に英語を教えるのではなく、数学、理科、体育、音楽などといった教科をも英語で教えることによって、英語漬け≠フ環境を意図的につくりだし、自然と英語が身につくようにしてしまうことだ。つまり、生徒は英語を学ぶ≠フではなく、英語で学ぶ≠アとになる。
 さらに、授業は四十五分間を一時限とし週当たり四十時限で設定しているが、とりわけ一年生では、英語授業は週十時限を確保している。
 また、英語で考え、英語で表現する力を鍛える「ミニ論文」制作が行われている。約三カ月かけて、中学二年生の段階で千語以上、中学三年生で二千語以上のミニ論文を提出できるレベルをひとつの目標としている。英文資料を読み、調査した結果をパソコンを駆使して、自らの言葉で作成するという作業は、中学生にとっては大変な作業だが、これを通して、論述力を身につけることができるのだ。
 これらの英語学習によって、中学二年修了時からTOEIC六百点を目指している。
 英語力を高めるために、中学一年の夏休みにはニュージーランド・オークランド市で英語の集中特訓が行われているのも、大きな特色の一つだ。三週間の短期留学中は、AIC高校ニュージーランド校で、英語のみの授業を受け、徹底的に英語力を鍛えている。
 中学二年生は、同校の生活・魅力についてこう語っている(説明会で)。
「わたしたちが伝統をつくることができるといいな」――と生徒の意識は前向きだ。
 「学力とモラルをしっかり身につけさせたい。学力の面では進学校としての実績を積んでいきたい」と平岡副校長。同校には常に設立趣旨である「世界的視野に立ち、価値ある貢献のできる国際人の養成」という原点に立って、まい進しているひたむきな姿が感じられた。
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