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記事2007年11月23日 2083号 (3面) 
文京学院大学の産学連携への取り組み
学生が3DCGアニメーションを制作
埼玉高速鉄道の路線で車内放映
文京学院大学(島田子学長、東京都文京区)は産学連携の一環として、埼玉高速鉄道株式会社の鉄道および駅構内などで、ディスプレイによる学生作品の上映に取り組んでいる。同社運営路線の沿線で、毎週日曜日の車内放映プログラムの約一分間を学生に提供する。これによって、この沿線地域の作家やアーティストらを応援する初めての試みとして、注目されている。上映区間は同社と相互乗り入れしている東京メトロ南北線、東急目黒線を含む浦和美園駅から武蔵小杉駅間で、七月八日の日曜日から、車内放映が始まっている。同大学は一九二四年の創立以来、東京・本郷で実学教育の下に八十三年の伝統を築いてきた。教育理念に「自立と共生」を掲げ、学生一人ひとりの可能性を開花させるとともに、社会に貢献する人材の育成に努めている。今回の試みは、地域との共生を視野に入れた活動だ。
 この連携に携わっているコンテンツ多言語知財化センター(島田昌和センター長、経営学部教授)は、学内の教職員や学生が制作するさまざまなコンテンツのデジタル処理、音声処理などの加工作業のサポート、これらのコンテンツの英語や中国語への多言語化編集の技術支援、そして、著作権処理による知財化を目的に設置された。
 同センターの役割としてコンテンツ・プロデュース教育が重要な役割を果たしているが、その一環として特筆すべきものが、外部のコンテンツ系企業や団体との間で産学連携によって、営業・企画・コンテンツ制作などが行われていることだ。いわば、コンテンツプロデュースの拠点ともいえる役割を担っている。また、同センターが、学内インターンシップの受け入れ先として機能しているのも注目に値する。学生は、学内で行われた講義のデジタルデータを作り、オープンキャンパスの際にウェブストリーミングを配信している。
 経営学部(コンテンツネットワーク専攻)では、単に座学で技術を修得するのではなく、3DCGアニメーションを制作する過程も社会に発信しようと取り組んでいる。今回の試みは、その一環として、今年三月に東京・東京ビックサイトで行われた東京国際アニメフェアに学生が自主的に作品を出展したことがきっかけだった。学生が自ら同鉄道会社に話を持ちかけて進んだものだ。このアニメフェアに出展し、学生自ら運営したのは、同大学だけであったので、非常に注目を浴びた。
 「ゼミなどで作成された作品、特に3DCGアニメーションを使って展開できないかという話は、学生が自ら進めていったものです」と話すのは、同センター担当の福島一郎氏(コンテンツプロデュース担当)だ。同社も単に車内でディスプレイを使ってCMを流すのでは、認知度が低いと考えていたのだ。
 同大学は実践を重視し、地域や企業などとの連携を強めながら、この使命の実現のために、さまざまな試みを意欲的に進めている。

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