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記事2007年10月3日 2078号 (1面) 
中教審教育課程部会 高校教育の枠組み変化期待薄か
素案を審議、引き続き検討へ
中央教育審議会の初等中等教育分科会教育課程部会(梶田叡一部会長=兵庫教育大学長)は九月二十五日、都内で第十一回部会を開き、高校の教育課程の枠組みや理数教育、環境教育、産業教育等について審議した。このうち高校の教育課程の基本的な枠組みに関しては、生徒の多様化が進む中で、学習指導要領の大幅な大綱化や現場の裁量権の拡大を求める声が高校関係者から上がっているが、この日提示された「検討素案」では、未履修問題の中にあっても、「約九割の高校の生徒は必履修教科・科目を学習指導要領にのっとって履修していたという事実を踏まえれば、今回のような必履修教科・科目の未履修の問題と高校の必履修教科・科目の在り方とを直接結び付けて検討を行うのは適当ではないと考える」と指摘するなど、学習指導要領の大綱化・弾力化の方向性はまだ打ち出されていない。
 検討素案では、全日制課程の授業は年間三十五週を行うことを標準とする規定は維持する、全日制の週当たりの授業時数は引き続き「三十単位時間を標準とした上で、各高校の工夫により三十単位時間を超えて授業を行うことが可能であることを明確にする必要がある」とし、卒業に必要な単位数については、「引き続き七十四単位以上とすることが適当」としている。また必履修教科については、現行の教科を基本とすることが適当で、標準となる単位数を設定する必要があるとしている。必履修科目については、現行の必履修科目の単位数を原則として増加させないこととしながらも、単位数を増加させても学校の裁量は縮小しない、又は選択肢の拡大につながる科目については増加を検討することが考えられる、としている。
 各教科の改善に関しては、国語、数学、外国語については共通必履修科目を置くことが必要としている。地理歴史、公民、理科については、選択必修とし、そのうち地歴では「世界史」必修は変わらないが、内容面では日本史、地理を一層重視するなどの観点からの見直しが必要としている。公民では倫理領域の充実、理科では物理・化学・生物・地学のうち三領域以上を履修する場合は総合科目の履修は不要とすることが適当としている。普通教科・情報は内容を見直す。保健体育、芸術、家庭は現行の必履修の科目の枠組みを維持した上で内容の改善を図る。
 検討素案説明後の委員の審議では、世界史を引き続き必修とすることへの疑問の声や、「高校は大学の予備校となっている。高校教育のもっと根本的な議論が必要」「高校教育は相当な矛盾がある」などの意見が出された。梶田部会長は「高校教育には少し時間がある。高校の問題は議論を深めていきたい」と語った。同部会では高校教育と大学入試のあり方についても更に検討していくことにしている。

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