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記事2007年10月3日 2078号 (1面) 
中教審・教育振興計画部会
基本方針案、重点事項協議
関係機関から意見聴取、公聴会開催
中央教育審議会の教育振興基本計画部会(部会長=三村明夫・新日本製鐵株式会社代表取締役社長)は、九月二十五日、都内で第八回部会を開き、文部科学省から平成二十年度概算要求の説明を受けるとともに、平成二十年度を始期として策定する五年間の「教育振興基本計画」に関して「検討に当たっての基本的な考え方について(案)」と、これまでの部会での意見や同部会内に設けられた打ち合わせ会での議論を基に作成された「重点的に取り組むべき事項について(案)」について検討した。
 このうち基本的な考え方は、これまでの我が国の教育成果と課題、教育立国の必要性、教育振興基本計画のねらいなどをまとめたもの。
 その中で今後求められる教育の方向性については、(1)社会全体で教育の向上に取り組む(2)個人の能力を伸ばし社会で生きる基盤を育てる(3)教養の厚みを備えた知性あふれる人材を養成し社会の発展を支える(4)安全・安心で質の高い教育環境を整備する、の四点を基本としている。
 また取り組むべき重点事項に関しては、生涯学習関係では、幼稚園等を活用した子育て支援の充実、専門高校における職業教育の充実、大学・高専・専修学校等における高度な専門職業人や実践的・創造的技術者の養成の支援充実、大学等における社会人受け入れの充実、放送大学の充実等「学び直し」の機会の充実などを挙げている。
 初等中等教育関係では確かな学力の確立、規範意識、豊かな心と健やかな体の育成、優秀な教員の確保、資質の向上などを、高等教育関係では厳格な成績評価など「出口管理」の強化の促進、各大学が高校段階の学習成果を適切に評価する入試を促進するなど高校と大学の接続の円滑化、国公私立大学等の連携体制、基盤的な経費(国立大学法人等運営費交付金・私学助成)の確実な措置などの必要性を指摘している。教育環境の整備関係では、安全・安心な教育環境、奨学金事業や私学助成の充実などを含む教育費負担の軽減の重要性を挙げている。
 文科省の概算要求と教育振興基本計画の関係について三村部会長は、「概算要求に(振興基本計画が)縛られるものではない。相互に関心を持ちながら進めていく」と語り、国民や関係機関から広く、これらの検討案について意見を求めること、地方公聴会を開く意向を説明、委員から異論なく了承された。
 これに先立つ審議では、「国民個人が充実人生を送れるよう土台作りの視点が必要」「どこから進むのか。予算は限られている。総花的ではだめ」「落ちこぼれた生徒をどうするかがない」「六歳児の小学校就学など学制の見直しに触れるべきだ」「学び直しの機会を制度的にどう作るかが大事」などの意見が出された。

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