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記事2007年10月3日 2078号 (2面) 
OECDが「図表で見る教育07」を発表
世界主要国の大学進学我が国を上回る伸び
非大学型高等教育の進学者、学費負担が影響
初等教育段階の授業時数は最低
 世界の主要国三十カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)は九月十八日、 「Education at
a Glance 2007」(『図表で見る教育』2007)を発表した。この報告書は加盟各国の教育システムの質、量、効率性などを国際的に比較したもの。同報告書によると、高等教育に関しては、OECD加盟国平均で該当年齢人口における大学型高等教育進学率は、一九九五年に三七%だったが、十年後の二〇〇五年には五五%に上昇していることが明らかになった。

 我が国ではその間に大学型高等教育進学率が四一%に伸びたものの、十年間の増加は十一ポイントにとどまっていた。
 我が国で大学型高等教育の在学率が低いのは、専修学校など非大学型高等教育への進学者の割合がかなり大きいこと、高等教育における教育費の私費負担の割合が高いこと、学生の学費負担が大きいものの、奨学金などの手当てが十分ではないことなどが影響している、としている。また我が国で公的貸与補助を受けられる学生の割合は四分の一にとどまっており、このことは高等教育に対する公財政支出の対GDP比と所得税収の対GDP比がOECD加盟国中特に低いことと部分的に関係している、と報告書は指摘している。
 また調査データのある二十三カ国では、大学型高等教育への進学者のうち、平均で二九%の学生が中途退学していたが、日本での修了率は九一%でOECD加盟国中最高だった。さらに二十五から三十四歳の就業者十万人に対する、女性の理工学分野専攻高等教育卒業者の割合は、OECD加盟国中で最低であることも分かった。
 また報告書は世界中の外国人学生の五%が日本の高等教育機関に在籍しており、日本は留学生にとって最も魅力的な進学国のひとつと指摘している。この割合が最も大きいのはアメリカ合衆国で二二%、次いでイギリス一二%、ドイツ一〇%、フランス九%、オーストラリア六%の順で、日本は第六位。
 一方、初等・中等教育に関しては、我が国の初等教育における児童生徒一人当たりの教育支出はOECD平均を上回るものの、平均学級規模は二八・四人でOECD加盟国中でも特に大きく、日本を上回るのは韓国とチリ(非加盟)のみ。
 また中等教育では我が国の平均学級規模は三三・五人でOECD平均の二四・一人を大きく上回っていた。教員の給与については、平均学級規模が大きいこともあって、OECD加盟国中でも比較的高く、勤続十五年の小学校段階の教員給与はドイツ、韓国、ルクセンブルク、スコットランド、スイスに次いで六番目の高水準。
 初等教育段階の教員の年間法定勤務時間は我が国では千九百六十時間で、OECD加盟国平均の千六百九十五時間を大幅に上回っていた。
 ただし我が国の初等教育段階における教員の年間授業時間数は五百七十八時間で、OECD加盟国平均の八百三時間を大きく下回っており、OECD加盟国及び非加盟国中で最も少なかった。
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