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記事2007年10月3日 2078号 (2面)
人口問題に関する調査・研究を行っている日本大学人口研究所(東京・千代田区、所長=小川直宏・日本大学大学院総合科学研究科教授)は、このほど、世界保健機関(WHO)と連携・協力して研究を行う「コラボレーティングセンター」の認定を受けた。 人口・健康・開発の三分野にわたる認定は世界初、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の分野では、タイ・マヒドール大学、中国・北京大学に次いで、アジアでは三番目の認定となった。 世界では約八百、国内では約三十の研究機関が「コラボレーティングセンター」の認定を受けている。 WHOからは、マヒドール大学、北京大学と提携して、東アジアにおける低出生問題を解明することを期待されている。 日本では、一人の女性が一生に生む子どもの平均人数を表す合計特殊出生率が二〇〇六年に一・三二となり、深刻な少子化時代を迎えている。 小川所長は「二十世紀が人口爆発≠フ世紀なら、二十一世紀は人口高齢化≠フ世紀」という。「人口増加のピークは一九六〇年代。これまで人口問題というと、アフリカなど開発途上国における人口増加にばかり目が向けられていた。その一方で、日本、韓国、中国、タイなど東アジアを中心に急激な少子高齢化が進んでいる」。 人口と健康問題をリンクさせる研究機関はあるが、雇用や収入といった経済・開発的側面からもアプローチしている機関は少ない。 小川所長は「人口問題と一言で言っても、医療、性、家庭、仕事、環境など様々な分野からの影響を受けるとともに、様々な分野に波及する問題を抱えている」と指摘。日本における少子化の要因、それが各分野に与える影響などを分析することで、東アジア各国との異同を探ることができるという。 現在、WHOと共同で、全国の二十―五十九歳の男女約一万人を対象に「『仕事と家族』に関する全国調査」を実施。仕事、結婚、育児、性生活など少子化に関連する詳細な項目について調査を行っている。 調査・分析結果は、来夏、日本で開催する「東アジアおよび東南アジアにおける低出生問題に関する国際会議」において発表される。
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