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全私学新聞

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記事2007年10月23日 2080号 (1面) 
全審連が水戸市で総会開く
広域通信制高校の面接指導施設問題 都道府県間で情報交換システム必要
全審連として過去7回も要望したが いまだ事態の改善みられず
実態把握文科省に要請へ 42都道府県「他県の状況つかめぬ」
全国私立学校審議会連合会(酒井竕長=東京女子学院中学高校理事長・校長)は、十月十八・十九の両日、水戸市内のホテルで平成十九年度総会を開き、都道府県の私立学校行政が当面する課題について情報交換・協議等を行った。このうち高校教育に関しては、昨年に続いて広域通信制問題が取り上げられ、一部に教育上不適切な状況がみられる面接指導施設に関して、具体的基準作りや設置状況等について都道府県間で情報交換できるシステム作りの必要性を確認した。

 広域通信制高校問題は、都道府県の私学行政当局や私立学校審議会にとってここ数年の懸案事項。同連合会では平成十年度以降、七度にわたり文部科学省に改善を要請してきたが、これまでのところ問題の改善は行われていない。
 広域制の通信制高校は、認可した都道府県以外にも全国複数の県に出先機関となる面接指導施設(面接指導や試験を実施)を開設できる。例えばA県で認可を受けた通信制高校は遠く離れたB県に面接指導施設を開設することができるが、B県の行政当局は県内の面接指導施設の実態を把握できない、もしくは、しにくい状況で、保護者からクレームが寄せられてもB県では情報も指導権限もないために直接指導できないという制度的な問題がある。また教育特区制度で認可された広域通信制高校については所管が市町村ということで更に実態把握は難しい。
 文部科学省が平成十八年四月に施行した「高等学校通信教育規程」では、規制緩和の方針から面接指導施設となりうる施設について、代表的な学校種を例示するだけで内容に幅を持たせていることから、県により面接指導施設の基準に違いが生じ、サポート校の扱いに苦慮している県もみられる。全審連が総会に合わせ今年、各都道府県私立学校主管課を対象に実施した調査では、「自県認可で他県所在の面接指導施設の生徒数等の実態を把握しているか」との問いに、六道府県が把握していると答えたが、十四都県では把握していないと回答(該当なしが二十七府県)。反対に「他県認可で自県所在の面接指導施設の設置状況等を把握しているか」との問いには、四府県が把握していると答えたが、四十二都道府県は把握していないと回答した。該当なしは一県。
 認可県に対する要望を調べた結果では、「面接指導施設の状況、在籍生徒数等の情報提供を希望する」「所在地、生徒数等、施設の概要程度の情報を提供して頂きたい」といった意見が数多くみられ、また「個々の学校の状況を都道府県レベルで把握するには限界があるので、文科省を中心にオンラインによる情報交換等のシステムの構築を希望する」などの要望が寄せられた。総会で議論の結果、全審連では各都道府県が十分な連携を取るためには、「面接指導施設」の具体的範囲・基準並びに「面接指導施設」の設置状況等に係る情報交換システムの構築について、高校教育の根幹を定める文科省が具体的なガイドラインを示すことが必要で、法整備に向け実態把握を同省に要請する必要性を確認した。総会での協議内容の取り扱いは、十一月八日の全審連運営理事会で協議の予定。

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