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記事2007年10月23日 2080号 (2面) 
学債は有価証券 文科省
一般投資家保護のため
開示財務書類等指定へ
金融商品取引法が九月三十日に施行され一定の要件に該当する学校法人の学校債についても「有価証券」に指定されることになった。それを受けて、文部科学省はパブリックコメントの手続きを経て、近く私立学校法施行規則(省令)の一部を改正し、新たに「有価証券発行学校法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」を制定、有価証券発行法人が作成すべき財務諸表について、種類や作成方法等を定める。
 学校債が有価証券とされる一定の要件としては、指名債権でないことが挙げられるが、指名債権であっても、(1)学校債に利息があり、かつ一般人も購入できること、又は一般人に譲渡可能であれば有価証券とみなされる。有価証券とみなされる学校債については、(2)募集対象者が五百人以上、かつ募集額が一億円以上である場合には、財務諸表を含む各種情報の開示が必要となる。
 今回、有価証券発行学校法人(有価証券又はみなし有価証券に該当する学校債を発行する学校法人及び私立学校法第六十四条第四項に規定する法人のうち、一定の規模〈みなし有価証券にあっては(2)に該当するもの〉を超えて発行するもの)が作成、開示すべき財務書類の種類や作成方法等を同省が示したのは、金融商品取引法が求める開示要求と同程度であり、かつ非営利の学校設置事業の特性を踏まえたものとするため、新規則を定めたもの。
 私立学校法施行規則の一部改正では、学校法人が備え付け、閲覧に供しなければいけない書類について、学校法人会計の原則に従って作成したもののほか、貸借対照表、収支計算書(損益計算書、純資産変動計算書、キャッシュ・フロー計算書及び附属明細書に限る)については、文部科学大臣が定める「有価証券発行学校法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」により作成することになる。この規則は企業会計の原則を反映したもの。
 金融商品取引法施行令では、学校債を「有価証券」と「みなし有価証券」との二タイプに分けているが、今回の省令改正等で、学校法人の学校債が国債や社債などと同じように銀行や証券会社を通じて手軽に購入できるという状況まで進展するわけではないようだ。学校債を市場で売り出すとなれば、学校法人の格付機関等からの評価が重要。大学法人ですでに学校債の評価を受けているところもあるが、一部の学校に留まっており、私学側も徹底した情報開示と厳しい評価に晒される状況には二の足を踏みそうだ。

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