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記事2007年10月23日 2080号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
教員養成6年制など討議
教員の資質向上策審議
免許更新制、養成課程認定も
【教員養成部会】
 中央教育審議会の教員養成部会(梶田叡一部会長=兵庫教育大学長)は、十月五日、都内で部会を開き、教員の資質向上等について自由討議を行った。この日は教員免許更新制についての検討や平成十九年度教員養成課程認定に関する諮問の後、教員の資質向上のための方策が検討された。
 このうち教員養成に絡んでは六年制化することについて積極的な検討を求める意見や、すでに愛知教育大学で六年制化が検討されており、兵庫教育大学では平成二十一年度から六年制に移行することなどが報告された。
 その一方で「修士卒については差し迫った必要性がない。教員養成のカリキュラムがいかに実践的指導力を育成するかが大切。教職実践演習などが実施されれば四年制卒でも力がつく」といった意見や、「教職に就職する学生がいない大学は養成課程を廃止してはどうかという意見もある」などの意見が出された。
 このほか教員の資質向上をめぐって大学と教育委員会の連携の必要性やフィンランドの教員はすべて修士卒で六年間に三ヵ月の教育実習が行われていることをあげて、教育実習の抜本的見直しを求める意見、しかし(母校ではない)教育実習の受け入れ先を確保する難しさを指摘する意見も聞かれた。また「教員養成課程の認定審査に際して実地視察の充実が必要。実地視察のインパクトは大きく、アクレディテーションの中に早く組み込む必要がある」「現在、初任者研修は指導教諭も校長も指導する時間がなくうまく機能していない。大学卒業後すぐに教壇に立たせず、一年間研修センターでみっちり人間関係づくりなどを指導すべきだ」といった声も聞かれた。
 梶田部会長は、「この部会は歴史的責任を背負っていると思う。本気で考え、できるところからやりたい」と語った。
 平成十九年度教員養成課程の認定に関しては、大学百六十、大学院八十九など二百六十八校(課程数で二千二百十)から申請があり、昨年に比べ百四十五校の減少、課程数では百五十一の増加となった。学校数の減少は、昨年は特別支援教育関係があったため。今後十月下旬から十二月上旬にかけて課程認定委員会で審査、十二月中旬以降に答申をまとめる予定。
 梶田部会長は、小学校の教員養成課程が三、四年前の抑制傾向から急速に定員増していることを取り上げ、「あと二、三年はいいが、就職の機会があるのか。(免許状を)タンスの底にしまっておくことになるのが心配だ」と語った。

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