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記事2007年10月23日 2080号 (7面) 
保護者ら1600人が決起した千葉県私学振興大会
全国平均補助達成を要望
経常費補助単価は最下位
知事は財政の窮状説明のみ
平成十九年度千葉県私学振興大会が十月六日、千葉市の幕張メッセ国際会議場に県内の私立中学高校の保護者千六百二十人を集め開かれた。千葉県の私立高校に対する経常費補助額は全国最下位、また私立学校の生徒等納付金は首都圏一の低額という中で、主催者を代表してあいさつに立った藤田慶治・千葉県私立中学高等学校協会長は、教育費負担の公私間格差が五・七倍にも開き、私立高校生の家庭では教育費が家計を逼迫させ、公私間格差が私立高校進学の障壁になっていること、私学の存続を大きく揺るがしていることなどを訴え、私学助成の増額などを訴えた。

 また藤田会長は、「授業等の抑制を求める県の行政指導を受け入れ私学助成に期待したが、期待は見事に裏切れられた」とし、「せめて全国平均の私学助成の確保を」と要望した。その財源としては公私の生徒収容比率を現行の七対三から六対四に私学の比率を引き上げれば約百五十億円の歳出削減ができるとした。
 また保護者代表の宮田尚美さんは、公立には約百万円の公費支出があるのに、私立への公費支出は約三十万円、この差が私立学校生の家庭の家計に重くのしかかっていると訴え、改正教育基本法の私学振興規定が絵に描いた餅にならないよう堂本暁子知事に私学助成の増額などを要請した。
 こうした私学関係者の切実な声に知事はどんなあいさつをするか私立学校関係者はもとより、来賓として出席した超党派の国会議員、県議会議員ら五十人を上回る来賓も固唾(かたず)をのんで見守ったが、堂本知事は、「裏切られたと言われるなら最初から実情を話す」とし、県の税収は伸びたものの(全国第三位の伸び率)、地方交付税措置の大幅削減で県財政の窮状は変わらないこと、教育以外にも、医療、農業、福祉など重要な分野があり、全国的にみて最低水準は教育だけではないと私学助成の増額の難しさを説明した。これに対して田久保尚俊県議会議長は公立施設の民間委託が広がる中で、公立学校を存続させていくことの積極的な理由はないとして今後見直し議論の必要性を指摘。国会議員代表の渡辺博道・衆議院議員は国が私学助成を増やしている中で県についても私学助成の増額を知事に期待しようと出席者らに呼びかけた。
 大会では積極的な私学振興策や私学助成の全国平均額の確保、生徒収容比率を私立四、公立六に近づけることを求めた大会決議を採択、佐藤正行・同協会副会長が堂本知事に手渡した。平成十九年度の千葉県の私立高校に対する経常費補助の生徒一人当たり単価は二十九万三千五百六十円で全国最下位(生徒に対する直接助成をしている埼玉県を除く)、全国平均額三十二万二千七百二十一円とは約三万円の開き。また千葉県の私立高校(全日制)の初年度生徒納付金平均額は六十七万一千五百七十二円で、埼玉県、東京都、神奈川県の八十万円台を大きく下回り、全国平均額六十九万円二千二十七円から約二万円低い状況だ。

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