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記事2007年1月3日 2053号 (2面) 
FDの義務化は継続審議
専門職大学院設置基準を改正
【大学分科会】
 中央教育審議会大学分科会(分科会長=相澤益男・東京工業大学長)は昨年十二月二十五日に都内で会合を開いた。大学基準協会を新たに法科大学院、短期大学の評価を行う認証機関として認めたほか、教職大学院の制度創設のため専門職大学院設置基準等を改正する答申をした。さらに医学部の今後の入学定員の在り方と学士課程教育についても議論、焦点となっているFD(ファカルティ・ディベロップメント)の義務化を含め、次期の中教審に審議が引き継がれることになった。
 大学基準協会は昨年の六月に法科大学院、十一月には短期大学の評価の申請をしていたが、今回答申されたことにより正式に認証された。
 一方、教職大学院の創設を受けた専門職大学院設置基準等の改正は、修了要件を原則二年以上在学し四十五単位以上を修得することや、学位は「教職修士(専門職)」、実務家教員の割合を四割以上とすることなどを盛り込んでいる。
 委員からは「学生のニーズ、どのようなメリットがあるのかという議論が顕在化していない」(石弘光・中央大学総合政策学部特認教授)、「既存の新構想大学や学部との兼ね合いの説明が必要」(中嶋嶺雄・国際教養大学理事長・学長)などの注文もあったが、答申され、改正は本年四月一日から施行されることとなった。
 また、昨年十二月に医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議がまとめた、医師不足が特に深刻とされる十県の大学医学部および自治医科大学において期間を設け定員増を認めることなどを盛り込んだ二次報告については、「へき地でも働きたくなるような仕組み、インセンティブの確保が必要。他省庁とでの取り組みを考慮し条件整備をしなければならない」(荻上紘一・独立行政法人大学評価・学位授与機構教授)などの意見もあった。
 文科省は、平成二十年度からの入学定員増に対象大学が申請等で円滑に対応できるよう、今後省令などの改正を行う。
 一方、同分科会ではこれまで制度部会と大学教育部会を設け、学士課程の在り方について議論してきたが、提言をまとめる前に一月末の委員の任期満了を迎えることとなった。
 今後はFD実施の義務化、シラバスの作成および成績評価基準の明示の義務化、設置認可・届出の手続き見直しなどを早期に検討する。また、特区における特例措置の評価結果を踏まえ、校地面積基準の在り方、運動場・空地に係る要件の在り方なども検討を行う必要があるとしている。
 相澤分科会長は「あまり拙速に提言をまとめることは避け、次期の審議会で継続的に議論していただく」と話している。

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