こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2006年9月23日号二ュース >> VIEW

記事2006年9月23日 2040号 (1面) 
株式会社立学校全国化3度目の検討へ
構造改革特別区域推進本部評価委員会
来年1月には結論 私学助成実施求める意見も
 構造改革特別区域推進本部は九月二十日、都内で第二十一回評価委員会を開き、学校設置会社による学校設置事業(いわゆる株式会社による学校設置)など今年度下半期に評価する特例措置に関して文部科学省等の調査計画案等を検討し、了承した。株式会社による学校設置事業を特区に限定せず全国的に認めるかどうかの評価は今回で三度目。来月以降、文科省と評価委がそれぞれ調査等を行ったうえで、来年一月、全国展開するか、さらにその是非の検討を続けるかを決定する。

 学校設置会社による学校設置は、今年九月現在、大学・大学院では、東京都千代田区や大阪市などの十七の特区で株式会社東京リーガルマインドなど十社による十校(うち実際開校しているのは七校)、小・中・高校では茨城県高萩市などの十四の特区で株式会社ハーモニックなど十四社による十四校(同十三校)。
 大学・大学院では株式会社東京リーガルマインドの学校が大半を占め、高校等ではほとんどが通信制高校という状況。
 こうした学校に対して文部科学省は実地調査と書面による調査を今年改めて実施することにしている。調査では、学校設置会社に対して経営方針、学校設置事業を行う理由、経営の見通しなど経営方針、経営状況、学校設置基準に関する状況などを調べることにしている。
 また教員については勤務内容等を、学生・保護者には志望理由、学校の評価等を、認定自治体には特区計画の具体的成果、セーフティーネットの状況、課題・問題発生の有無等を、都道府県には県域レベルでの影響等を調べることにしている。このほか同省では株式会社による学校設置事業によって学校教育全体がどう変化したのか、その功罪を、また弊害がみられた場合、それは株式会社立に起因しているのか、校種に起因しているのかについても、分析したいとしている。
 その一方で評価委員会も株式会社による学校設置事業の経済面などの効果、要件・手続き・法制度上の問題点、将来展望などについて調査することにしている。
 九月二十日の評価委員会では、株式会社立学校が私学助成の対象外であることを問題視する意見が出されたほか、校地・校舎の賃貸料の負担軽減や税制上の優遇措置の必要性を指摘する意見も聞かれた。評価委員会の金子郁容・教育部会長は、「バウチャー制は運営費のみ。施設面がもっと自由になれば新規参入が増えるだろう」と語った。また九月十五日の教育部会の中では、個人的な考えとしたうえで、(特区で開設された)通信制高校の一部には問題があるとの認識を示した。
 今年度下半期にはこのほか、「高校全日制課程において不登校状態にある生徒に対するIT等の活用による学習機会拡大事業」「市町村教育委員会による特別免許状授与事業」「校地・校舎の自己所有を要しない専修学校等設置事業」の評価も行う。
 規制所管庁と評価委員会の調査の後、文部科学省等へのヒアリングが行われ、来年一月、評価委員会としての意見が総理大臣に提出され、二月に構造改革特別区域推進本部で全国展開する特例措置が正式に決定される。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞