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記事2006年9月23日 2040号 (5面) 
ユニーク教育 (162) ―― 関西中央高等学校
人と人の絆、元気な挨拶
徳を伸ばす、知をみがく、美つくる
 冬木学園(冬木智子理事長、奈良県桜井市)、関西中央高等学校(中西健校長)の一日は、「おはよう!」という元気なかけ声から始まる。正門正面に掲げられた「人と人との絆(きずな)を結ぶ、元気なあいさつ日本一! 生徒会」と書かれた垂れ幕のスローガンは、活気に溢れた学校を表している。
 近畿で最初に設立された理学療法学科を有する畿央大学・同大学付属幼稚園を併設する同学園は昭和二十一年冬木文化服装学院として開校以来、今年で六十周年を迎えた。創設者冬木智子理事長が一貫して提唱している「徳をのばす」「知をみがく」「美をつくる」の建学の精神に基づき、精一杯(せいいっぱい)自分を磨くことの素晴らしさを生徒に伝えることを使命と考えている。「とりわけ人の心の悲しさ、痛さを分かりあえる人格の形成こそが教育の根本であると考えます。今日の情勢を鑑(かんが)みるとき、本学の『徳をのばす』の精神、豊かな人間性の育成が特に、必要とされていると思います」(藤本真喜子教頭)。
 現在「絶対伸びる、伸ばします」をキャッチフレーズに、「文武両道」を提唱し生徒の「自立」サポートを進めている。次年度より現在ある三コースを「特進コース」と「進学コース」の二コースにし、基礎学力の養成から難関大学受験レベルまで、対応できる能力を身につけさせようとしている。「特進コース」は、一年次で基磯学力を徹底的に養成し、二年次から志望大学にあわせて文系・理系のカリキュラムに沿って、目標大学合格までサポートする。「進学コース」は、生徒のやる気を大切にし、その努力を応援するため、基礎から学びなおし大学を目指すエンカレッジT類(学力錬成専科)と、学習と部活動との両立を完全バックアップするエンカレッジU類(部活動専科)を設置する。
 平成十六年度から二学期制を導入、これによって、年間約五十日間の授業日数が増加し、基礎・基本を確実に定着させることができた。土曜日は第一、第三土曜日も授業を実施している。
 最も重視している一つが、大学との連携だ。文部科学省平成十七年度「大学・大学院における教員養成推進プログラム(教員養成GP)」に関西大学大学院外国語教育学研究科のプログラム「学びのネットワーキングと英語教員養成――現職教員・大学院生・地域の学校を巻き込んだ『連携型』教員養成プログラムの展開――」が採択され、同校が教員養成GP連携協力校に決定した。これによって、外国語教育を一層充実させる方針だ。
 また、「マルチメディア教材を利用した授業・学習環境の改善」をテーマに活動も進めている。今年春、最先端の情報環境を大幅に充実させることができた。マルチメディア教室には、パソコンが新たに百四台、さらに外国語学習ルーム、マルチメディアセンター、プレゼンテーション室にも多数のパソコンを設置した。また併設の畿央大学教育学部教育情報化コースを中心に教授と、同校教員との情報化推進プロジェクトを立ち上げている。
 「教育の情報化に向け、本校では『外国語学習ルーム』を設置しています。環境を変化できる可動式のいすや、コンピュータを活用した授業展開も行い、生徒の学習意欲を高めています」と中西校長は力を込める。
 また、入学当初から将来への進むべき方向を意識させることを目的に、キャリア教育を取り入れている。
 「元気な覇気のあるあいさつを行うようになってから、生徒は変わってきました。学校全体も明るく、さわやかな雰囲気になってきました。地域の人たちからは『生徒のあいさつで元気付けられる』と、好感を持って迎えられています」と、中西校長の顔がほころぶ。
 あいさつを通して、人づくりという最終目標は着実に進んでいる。地域から年々高い評価を得て、「魅力と特色ある学校づくり」が一般と加速している。

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