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記事2006年9月13日 2037号 (1面) 
競争的環境で優れた取組支援 文科省が概算要求
国公私通じた大学改革支援等に972億円
前年度の1.7倍増 先端的国際連携など8新事業も
 文部科学省は平成十九年度、「特色ある大学教育支援プログラム」や「二十一世紀COEプログラム」など国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実等に前年度比四百一億円増(約一・七倍)の約九百七十二億円を投じる計画だ。これは来年度予算として財務省に要求しているもので、「先端的国際連携支援」や「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」「大学院教育実質化推進プログラム」「グローバルCOEプログラム」など八つの新事業への支援も開始する意向だ。

 「国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実等」は、国公私立大学を通じた競争的環境の下で特色ある優れた取り組みを選定、支援する事業。同事業は大きく分けて(1)国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実(2)世界最高水準の卓越した教育研究拠点と大学院教育の抜本的強化(3)地域医療、がん等に関わる医療人材養成機能の強化(4)産学連携による高度人材育成の充実の四つ。
 このうち(1)では、次の分野の事業を支援する。
 ▽学位を与える各課程(学士・短期大学士)に応じた教育内容や方法等の高度化・豊富化に資する優れた取り組みを支援する「特色ある大学教育支援プログラム」(十九年度要求額=三十四億七千六百八十二万五千円、前年度と同額)
 ▽社会的要請の強い政策課題に対応した優れた取り組みを支援する「現代的教育ニーズ取り組み支援プログラム」(要求額=七十億三千四百万円、五三・二%増)。来年度は地域活性化、知的財産関連、環境教育、キャリア教育などの公募テーマを予定している。
 ▽大学教育の国際化推進プログラム(要求額=二十八億一千六百七十五万七千円、四八・三%増)。この事業には海外の大学院等の学位取得を目的とした学生等の海外派遣を支援する事業、教職員を海外の大学等に派遣し、高等教育の国際化を図る取り組みを支援する事業、海外の大学と連携し、総合的な国際教育活動の取り組みを支援する事業があり、加えて来年度からは海外の複数大学等と連携するなど、先端的な国際連携活動の取り組みを支援する(要求額=六億円、新規事業)。
 ▽社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム(要求額=四十八億円、新規事業)。この場合の社会人にはニートも含んでいる。
 ▽新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム(要求額=四十五億八千七百五十八万五千円、新規事業)。
 ▽法科大学院等専門職大学院教育推進プログラム(要求額=十九億二千五百万円、一八・八%増)
 ▽資質の高い教員養成推進プログラム(要求額十六億七千五百万円、八一・六%増)
 また(2)では、次の四事業への支援を行う。
 ▽二十一世紀COEプログラム(要求額=二百六十三億三千五百八十一万九千円、三〇・三%減)
 ▽魅力ある大学院教育イニシアティブ(要求額=十四億二千七百九十八万六千円、六六・〇%減)
 ▽グローバルCOEプログラム(要求額=二百三十億八千六百八十七万一千円、新規事業)二十一世紀COEプログラムの成果を踏まえ、世界的な卓越した教育研究拠点形成をより重点的に支援する。特に若手研究者の育成と国際的な拠点形成を強化するのが目的。
 ▽大学院教育実質化推進プログラム(要求額=百四億三千四百二十八万八千円、新規事業)。大学院教育を抜本的に強化し、産業界をはじめ社会の様々な分野で幅広く活躍する高度な人材を育成するため、博士課程、修士課程における優れた組織的・体系的教育の取り組みを支援するもの。

地域医療等の質の高い医療人養成
女性医師、復帰支援など


 (3)では、二つの分野の事業について支援する。
 ▽地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム(要求額=二十四億五千二百五十万円、八九・七%増)。来年度は、地域医療への貢献を志す医師の養成、女性医師・看護師の臨床現場定着・復帰支援、臨床研究・研究支援人材の養成、新興・再興感染症に対する質の高い医療人の養成を公募テーマとする予定。
 ▽がんプロフェショナル養成プラン(要求額=四十億円、新規事業)。新たながん治療の担い手となる高度な知識・技術を持つがん専門医師・がんに携わるコメディカル等、がんに特化した医療人の養成を行うため、横断的な教育プログラムの構築と実施、実地修練を支援するシステムの整備を行う大学(大学院、大学病院)の取り組みを推進する。
 (4)では、四つの分野の事業を支援する。
 ▽派遣型高度人材育成協同プラン(要求額=三億七千五十万円、五〇%増)。産学協同による、大学院生を対象とする、企業現場等の実践的環境を活用した質の高い長期インターンシップの開発・実施を支援する。
 ▽先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム(要求額=十億五千万円、六六・七%増)。企業等において先導的役割を担う人材の育成拠点形成を支援する。
 ▽ものづくり技術者育成支援事業(要求額=八億円、新規事業)。地域や産業界と連携した実験・実習と講義の有機的な組み合わせによる教育プログラムの開発・実施を通じ、ものづくり分野を革新させる高度な知識・技術を持ったものづくり技術者の育成を支援する。
 ▽サービス・イノベーション人材育成推進プログラム(要求額=四億五千万円、新規事業)社会科学、自然科学等の融合による新たな知識の体系化等を通じた教育モデルを構築し、サービスに関して高いレベルの専門性を持ってイノベーションを創出しうる人材の育成を支援する。

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