こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2006年8月3日号二ュース >> VIEW

記事2006年8月3日 2032号 (1面) 
教育費負担軽減を 全私学連合が振興予算等で文科相に要望
助成増額に期待
定員割れ私学も地域に貢献
 全私学連合(安西祐一郎代表=慶應義塾長)は、八月一日、文部科学省に小坂憲次大臣ら同省幹部を訪ね、平成十九年度私立学校関係政府予算に関する要望と税制改正要望を提出した。この中で私学団体代表は経常費補助の拡充のほか、教育費負担の軽減や学費負担額の公私間格差の是正、私立小中学生への奨学金の創設、幼児教育の無償化に向けて就園奨励費補助の充実、老朽校舎建て替え事業に対する利子補給補助の継続、経営困難法人に対する公的支援の仕組みづくりの検討等を要請した。

 この日、文部科学省を訪問したのは、全私学連合を構成する五団体の会長らのほか、日本私立学校振興・共済事業団の鳥居泰彦理事長ら。この中で安西代表は、私学助成や税制改正を通じて親の教育費負担の軽減を要請。日本私立中学高等学校連合会の田村哲夫会長も公私立高校間で五・六倍に広がっている学費格差の是正と、私立小・中学校生も奨学金の対象に加えてほしいと要望した。日本私立小学校連合会の石橋恵二常任理事は、少子化の中にあって私立小学校数が増加している背景に、経済的には苦しいが、良い教育を求め共働き家庭の子供が増えていることなどを説明した。全日本私立幼稚園連合会の清水博雅副会長は、政府の「骨太の方針二〇〇六」に幼児教育の無償化が盛り込まれたことに触れ、就園奨励費補助等の充実を通し初年度として確かな第一歩となる予算を要請した。
 この日の懇談では、その「骨太方針」に「私学助成については名目値で前年度比一%減(年率)にすることを基本とする」との文言が盛り込まれたことによる影響が取り上げられた。私学団体代表らは「基本とする」との文言がついていることに増額への期待感を表明。小坂大臣は大臣が私立学校出身者の時代に文部科学省の最重要施策である私学振興に最善の努力をするよう事務方に言っていると話した。玉井日出夫官房長は、一%削減というキャップを飛び越えることは正直難しいがどういった形が考えうるのか検討する考えを明らかにした。また保護者の負担する教育費を正面から考える時代であり、省としても議論を始めていること、私学助成のあり方についても抜本的見直しの時期にあるとの認識を示した。さらに清水潔・高等教育局長は、一%の削減は五年間予定されていることから、初年度となる平成十九年度の私学振興予算のあり様が大切だなどと述べた。
 その「骨太方針」に盛り込まれた「定員割れ私学について更なる助成額の削減」に関しては、私学側から定員割れ私学も地域貢献をしていることや、中央と地方の格差が拡大する恐れなどが指摘され、きめ細かな私学助成が要請された。このほか鳥居理事長からは、潰れる私学が出始めていることから公的支援の仕組みの検討の必要性が指摘された。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞