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記事2006年8月3日 2032号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
実生活で必要な言葉を
各教科改善の方向性
 言葉は技能、知識、文化、活用の視点で


【教育課程部会】
 学習指導要領の改訂について検討している中央教育審議会教育課程部会(部会長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)は七月二十四日、都内で会合を開き国語や総合学習、生活科などの改善の方向性について検討素案をまとめた。
国語ではより実生活や実社会で必要な言語能力を確実に育成することを必要としている。今後、ほかの教科についても改善の方向性を示し議論していく。国語について改善の方向性、目標、内容については(1)言葉によって適切に理解し表現するための「言語の技能」(2)言葉によって理解し表現する基礎となる「言語の知識」(3)言語に親しみ、日常的に読書や表現の活動をする「言語の文化」(4)課題解決のために、論理的思考力を生かし言語を運用する「言語の活用」――の四つの視点を示している。古典では小学校で音読や暗唱、中学校では実際の言語生活と結びつけた指導、敬語指導では小学校で使い慣れるよう重視し、中学校では社会生活において適切に使えるようにする。
 高校の科目構成については「話す」「聞く」「書く」「読む」の総合的な科目を置くか、または文章などの資料を理解し論理的な表現力を育成する科目や、古典などの言語文化に親しむ指導事項を重点化した科目を設けるか、検討する。
 総合的な学習の時間は、学校間、学校種間において取り組みに差があるとし、育てたい力の視点を例示することも必要としている。例えば、小学校では地域の文化や伝統に関するもの、中学校では仕事や自己の将来を考える学習活動などを示し、小・中・高校間での情報交換などの連携も求めている。高校の普通教科「情報」では情報モラル、マナー、知的財産の保護の育成、指導を重視。生活科では安全教育の充実や動植物との関わりを通して、児童の気付きの質を高める。技術・家庭科では、小学校は金銭の使い方、中学校では消費者としての自覚、高校では生涯生活設計など、より実生活とのつながりを重視した改善の方向性を示している。

9割の私費留学生への配慮
 高額授業料など課題


【大学分科会】
 大学の競争力強化と国際展開について検討している中央教育審議会大学分科会(分科会長=相澤益男・東京工業大学長)は七月二十四日、都内で会合を開きこれまでの意見整理を行った。国際交流の推進・貢献として私費留学生への配慮や、短期の留学制度の拡充などを求めている。
 一方、国際教育協力懇談会の報告案も示され、目利き人材によるコンサルテーションの活用などを提案している。
 日本への留学の魅力を高める戦略として、魅力ある大学教育プログラムを提供し、世界の留学生市場の一〇〜一五%のシェアを確保することや、大学の積極的な情報公開や知名度向上、日本留学のブランド化を図ることが必要とした。さらに短期学生交流プログラムを大幅に拡大・拡充することも求めている。日本の留学生の約九割が私費留学生で、そのうち七割は私立大学に在籍している現実、特徴を踏まえることも必要だとした。私立大学における私費留学生の課題としては高額な授業料、留学生の質の確保、受け入れ態勢の整備、大学教育の国際的通用制が存在しているとしている。一方、国際協力における大学などの教育関係者の積極的な参画を促進するために設置された「国際教育協力懇談会」の報告案について、同懇談会の座長である木村孟委員から説明があった。日本はODAを通じた知的な国際貢献を実施していくことなどを提案。その際、援助に役立つ大学の「知」を見抜き、専門的な見地から技術的なアドバイスなどを行う人材を配置することなどを求めている。報告案は八月十三日までパブリックコメントを受け付け、今月三十日にまとめる方針だ。

法科大学院も評価へ
 大学基準協独自評価基準で認定


【法科大学院特別委員会】
 (財)大学基準協会は法科大学院の評価機関として申請を行った。小坂憲次・文部科学大臣が同協会の認証評価機関の認証について中央教育審議会に諮問し七月二十八日、法科大学院特別委員会(座長=田中成明関西学院大学大学院司法研究科教授)で審議に入った。
 今後、大学分科会などを経て答申、近く認証される予定だ。
 同協会では「法科大学院評価基準」を独自に設定。十の大項目と百十二の評価の視点で構成され適格認定を行う。
 評価の視点は法科大学院に必要とされる最も基本的な事項を「レベルI」、教育研究の質を今後も継続的に維持・向上させていくために点検・評価することが望まれる事項を「レベルU」と二段階に分ける。
 レベルIで法令上問題がある場合は、認定しない。レベルUでは特色ある取り組みや成果について「長所」、または「問題点」を記す。
 法科大学院の認証評価機関は日弁連法務研究財団、大学評価・学位授与機構の二つがある。
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