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記事2006年7月3日 2028号 (1面) 
歳出・歳入一体改革 私学助成、前年度比1%マイナスが基本
定員割れ校への補助金減額
義務教育教員の優遇措置縮減
 政府、与党は六月二十六日、総理官邸で財政・経済改革会議の実務者協議会を開き、五年後の平成二十三(二〇一一)年の基礎的財政収支の黒字化に向けた歳出削減の最終案で合意した。

 それによると、五年間をかけて社会保障関係費を一・六兆円程度、人件費を二・六兆円程度、公共投資を三・九兆円から五・六兆円程度、その他の分野で三・三兆円から四・五兆円程度、合わせて十一・四兆円から十四・四兆円程度の歳出削減を行う。黒字化に必要な十六・五兆円に足りない額(二から五兆円程度)については、歳入改革(増税)で賄う。
 歳出削減の「その他」の項目には文教関係予算も挙げられており、私学助成予算に関しては、「定員割れ私学については、助成額の更なる削減など経営効率化を促す仕組みを一層強化するとともに、学生の減少に応じた削減を行うことにより、施設設備に対する補助金を含めた各年度の予算額を名目値で対前年度比一%のマイナス(年率)とすることを基本とする」と定めている。
 また国立大学運営費交付金については、効率化ルールを徹底し、各年度の予算額を名目値で対前年度比一%のマイナス(年率)としている。
 義務教育費国庫負担金に関しては、教職員の定数について子供の数に応じた削減を行うこととし、具体的には今後五年間で一万人程度の純減を確保すること、地方公務員の給与構造改革や地方における民間給与水準への準拠を徹底させること、人材確保法に基づく優遇措置を縮減し、メリハリをつけた教員給与体系を検討する、その結果を退職手当等にも反映させる、としている。奨学金予算に関しては、回収強化につき債務保証等債権管理のあり方を含め抜本的な施策を講じて国民負担を最小化し、三%の貸し付け上限金利は、教育政策の観点等から見直しを検討する。これらの事項は、七月に閣議決定される「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六」(いわゆる骨太の方針)に盛り込まれる。
 歳出・歳入一体改革と車の両輪として政府・与党の最優先課題として位置づけられる「経済成長戦略」(人口減少が本格化する二〇一五年までの十年間に取り組むべき施策を短期・中期・長期に分け、工程表を示したもの)も策定されたが、その中では、「人財立国」の実現に向け、大学院、大学等における社会人の学び直しの機会の拡大、奨学金事業の充実、教育内容の充実、学校選択制の普及、機動的な学部・学科の創設・再編の推進、専門職大学を始めとする大学、高専、専門高校等において産学連携による高度な職業人材養成のための実践的教育・訓練の促進などを掲げている。

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