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記事2006年7月3日 2028号 (1面) 
中教審教員養成部会が答申案 教員免許の更新制と教職大学院の創設を提言
 中央教育審議会教員養成部会(部会長=梶田叡一・兵庫教育大学学長)は六月二十六日、教員免許状の更新制と教職大学院の創設などを盛り込んだ答申案をまとめた。教員の資質向上を目指す。七月上旬の初等中等教育分科会でも議論し近く答申される見込みだ。
 答申案ではこれまで終身資格であった教員免許状に十年間の有効期限を設けることを提言。現職教員にも適用する。教員として必要な資質能力が確実に保持されるよう、必要な刷新(リニューアル)を行うことを狙いとしている。有効期限内の満了時の直近二年間程度の間に免許更新講習を最低三十時間受講し修了の認定を受けることが更新の要件となる。
 この更新の際の実施主体は都道府県教育委員会で、講習は課程認定大学のほか、大学の連携協力のもと都道府県教育委員会でも開設できることも求めている。ただし教員としての研修実績や勤務態度など講習に代替して評価できる場合は講習の一部またはすべての免除を可能とした。
 更新要件を満たさなければ教員免許状は更新されず失効となる。だが免許更新講習と同様の講習(回復講習)により再授与申請ができる。また更新制はすべての普通免許状に同等に適用、複数免許状保有者については更新要件を満たせばほかの免許状の更新も可能としている。ペーパーティーチャーについては回復講習で対応する。
 教員養成段階では教職課程の中に新たな必修科目「教職実践演習(仮称)」を設定し、(1)使命感や責任感、教育的愛情(2)社会性や対人関係能力(3)幼児児童生徒理解や学級経営(4)教科・保育内容の指導力――の事項を、ロールプレーイングやグループ討議、現地調査も取り入れ指導する。履修時期は四年次の後期、最低取得単位数は二単位とした。
 教員免許制度の導入に関する協力者グループを今月より発足させ、更新講習のモデルカリキュラムや認定に際しての基準について詰める。
 また教育実習については、いわゆる母校実習が大学側の対応や評価の客観性の確保などの点で課題も指摘されることから、できるだけ避ける方向で見直しを行うことが適当だと指摘している。
 一方、教職大学院では新しい学校づくりに有力な新人教員、実践・応用力を備えたスクールリーダーを育成する。標準修業年限は二年、四十五単位以上を必要修得単位数とし、そのうち十単位以上を学校での実習に充てる。専任教員は最低十一人、うち実務家教員率は四割以上とした。法科大学院の二割以上に比べても高い割合だ。

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