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記事2006年7月3日 2028号 (1面) 
二歳児の入園受け入れ実施 規制を撤廃して全国展開へ
政府の構造改革特区推進本部評価委
 政府の構造改革特別区域推進本部評価委員会(委員長=八代尚宏・国際基督教大学教授)は六月二十七日、中馬弘毅・構造改革特区担当大臣も出席して都内で会合を開き、平成十八年度上半期に評価を予定している三歳未満児(二歳児)の幼稚園への入園事業について規制を撤廃して全国実施することを決めた。

 文部科学省も二歳児の幼稚園生活への不適合、園全体の教育環境の悪化、教員の負担増による幼稚園業務の質の低下といった課題は、幼稚園に対して指導上の「留意事項」を明示することで解決可能としており、二歳児受け入れを容認する意向。ただし二歳児に対して集団的教育を行うのではなく、個別の関わりに重点を置いた保育として二歳児を受け入れる。
 そのため学校教育法は改正せず、現在実施している預かり保育の一環として実施する。
 二歳児受け入れの「留意事項」については、評価委員会から事前に説明を求められていることから、七月中旬にも説明したうえ、早ければ七月中にも各幼稚園に通知される予定。
 二歳児受け入れに際しての「留意点」(本紙幼稚園版6月3日号4面に掲載)は、すでに特区で二歳児を受け入れている自治体には通知されているが、今後、実施園の取り組み実践の成果も反映し、新たな仕組みに対応する内容に修正、明示する意向。かなりの修正が入り通知が十月から十一月にずれこむかどうかは未定。
 いずれにしろ「留意事項」は義務規定ではなく、幼児教育特区で先行的に二歳児を受け入れてきた幼稚園での成功事例との性格。そのため評価委員会でも「留意事項」が新たな規制にならないよう、「留意事項」の名称の見直しを含め、文部科学省に趣旨の徹底を求める意向。幼稚園への二歳児受け入れは、正式には七月三十一日の評価委員会で決定、八月初めに同推進本部(本部長=小泉純一郎首相)に報告、九月上旬に決定の予定。
 このほか六月二十七日の評価委員会では、大学設置事業に関わる「校地面積基準の引き下げ」「運動場要件の弾力化」「空地要件の弾力化」の三特例措置の全国展開が協議されたが、事例が少なく、実施し始めてまだ期間が浅いなどから判断を保留し、引き続き特区での検証を続けていくこととなった。
 このほか特区での実施事例が少ない「公私協力学校設置事業」「校地・校舎の自己所有を要しない専修学校等設置事業」については、引き続き特例事業の活用状況を見守ることになった。
 評価委員会に先立って六月二十日、この特例措置を検討した評価委員会教育部会の金子郁容部会長(慶應義塾大学教授)は、個人的見解とした上で、「もともと(公私協力学校設置事業等の)制度設計が中途半端」と語った。公私協力学校設置事業の特区での活用事例がない理由としては、国から私学助成が受けられないからなどが挙げられている。

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