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記事2006年7月3日 2028号 (6面) 
ユニーク教育 (159) ―― 東北生活文化大学高等学校
読書クイズ王決定戦 朝の読書など読書の楽しみを
読書活動推進フォーラム
 平成十八年度「子ども読書の日」(四月二十三日)を記念して「子どもの読書活動推進フォーラム」(文部科学省主催)が同日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、全国の読書活動優秀実践校百三十七校が表彰された。 
 学校法人三島学園 東北生活文化大学高等学校(光井正校長、宮城県仙台市)はこのうちの一校に選ばれ、吉田実教諭と西山まどかさんが子どもの読書活動推進実践事例報告を行った。
 同学園は明治三十三年、「励み、謹み、慈み」を建学の精神に掲げ、「東北法律学校」として創立され、創立以来「調和のとれた、愛情豊かで、実践力に富む」人材育成に努めている。現在、大学・短期大学部・幼稚園・保育園を擁する総合学園として発展している。同校は平成十五年には男女共学を実現、普通科は美術・生活文化・保育・進学・総合教養の五コースと、商業科は情報ビジネス・経営デザインの二コースを設置している。
 同校の読書活動は「朝の読書」の実践から始まった。生徒の集中力や思考力を養い、見識・見聞を広げつつ、自己研さんになればとの思いで、全校一斉に取り組んで今年で七年目を迎えている。毎朝授業前十分間の読書は、当時は珍しかった。この「朝の読書」は、まさに生徒の集中力育成といった面では効果的だった。
 この蓄積を背景に、読書活動を一層推進させるために始めたのが、「生徒に読書の楽しみをクイズ形式で伝える」(吉田教諭)「読書クイズ王決定戦」だ。これは、小学生、中学生、および同校の生徒を対象に、クイズ課題図書から問題を作成し、クイズ形式でその読書力、読み込んだ程度を二人一組で競うというものだ。参加者は当初、中学生と同校の生徒で行っていたが、小学生やその保護者からの要望もあり、小学生まで対象を広げた。実際、当日は保護者を含めて、およそ百五十人が会場に集まり、読書の醍醐味(だいごみ)を競うことになる。
 昨年十二月十日に行われた「第四回読書クイズ王決定戦」のクイズ課題図書は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(静山社)。参加者はこれを読み込んで、想像もつかないような細かい問題を作り応募。予選では参加者が作成したクイズ問題から二十問を出題する。その後、上位チームを選抜、決勝戦を行うのだ。
 予選と決勝戦との合間に、紙芝居、同校の生徒による自作詩集の朗読やプロの音楽演奏などを行い、さまざまな趣向を凝らし楽しい雰囲気をつくり出している。
 この大会を行うに当たって、大会ポスターを美術コースの生徒が作成したり、教職員が仮装したりして、同校の生徒や教職員の気持ちも盛り上がった。
 このほか、保育コースの生徒や文学部の学生が近隣の保育所や幼稚園で行う「読み聞かせ活動」や、「校内移動図書館」も実践している。
 読書の素晴らしさを生徒たちに伝えようとする同校の試みは、成功している。


表彰を受ける吉田教諭と西山さん(左)

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