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記事2006年7月23日 2031号 (1面) 
中教審答申を小坂文部科学大臣に提出 教員免許更新制を提言
教職大学院創設も
大学学部の教職課程を充実
 中央教育審議会(会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)は七月十一日、大学学部での教職課程の充実、教員養成系専門職大学院の創設、教員免許状の更新制の導入などを提言した答申をまとめ、小坂憲次・文部科学大臣に手渡した。来年の通常国会にも関連法案が提出される見通しで、養成・採用・現職段階を通じて教員の資質向上を目指す。

 答申では、学部段階の教職課程に必修科目「教職実践演習(仮称)」を二単位新設するとした。使命感や責任感、教育的愛情を持って教科指導、生徒指導などを実践できる資質能力を形成する。教育実習については能力、適性に問題のある学生を実習に出さないことや、いわゆる「母校実習」は避けると指摘している。
 また専門職大学院として教職大学院制度の創設を行い、新人教員と現職教員の両者に対し高度な専門性を身に付けさせる。原則二年の修業年限で事例研究やフィールドワークを中心に、四十五単位以上修得することが修了要件となっている。
 一方、終身資格である教員免許状に十年間の有効期限を設けることを提言した。更新のための要件は免許更新講習を有効期限内の直近二年で三十時間受講する。教員は時代に合った資質能力に刷新できる講義を受けることになる。
 更新制は現職教員、ペーパーティーチャーにも適用され、要件を満たさなかった場合、免許状は失効となるが、「回復講習」で再授与の申請は可能だ。
 答申を受け小坂文科相は「優れた教員養成、質的向上は日本の将来の国力につながるものであり国際社会の位置付けを確固たるものにすると認識している。国民に趣旨、目的が理解できるよう今後法律等の整備に当たる」と述べた。
 だが、委員の中には更新制について「相当な経費がかかる」「(学部卒業から)十年というと、特に女性は子供を産んだりとライフステージでも大変な時期に当たる」などといった懸念を示す意見も根強くある。

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