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記事2006年7月13日 2030号 (1面) 
私学振興・共済事業団の学校活性化再生研究会の中間報告 経営困難、破綻回避の方策盛り込む
情報公開で法的措置も
負債軽減、経費節減など抜本策提言
 日本私立学校振興・共済事業団(=私学事業団)の設置した学校法人活性化・再生研究会(座長=清成忠男・法政大学学事顧問)は七月六日、経営困難な私立学校への破たん回避の方策などを盛り込んだ中間まとめを発表した。破たんする恐れのある法人には法的措置により学生募集停止命令を発動したり、法人のリスク情報を公開することなどを提言している。今年度末を目途に最終報告をまとめる方針だ。

 同研究会は昨年五月に文部科学省がまとめた「経営困難な学校法人への対応方針について」を受け、方針をより具体的に検討するため私学事業団が教育有識者や弁護士ら二十一人を委員に迎え、設置した。
 中間まとめでは破たんを回避する方策として、遊休資産の売却整理による負債の軽減や生涯学習を視野に入れた社会人らの受け入れ、学部やカリキュラムの改組転換、人件費と経費の節減などを示している。だが抜本的な対策が見出せない場合は募集停止、支援法人を探すことを求めた。早期の決断であれば得意分野で生き残る可能性があり、支援法人も探しやすくなると指摘している。さらに学生の在学中に経営破たんする恐れのある学校法人に対しては、募集停止を可能にする仕組みも検討。法的措置により学生募集停止を命令したり、その法人のリスク情報を公開することで注意を喚起すべきといった意見も盛り込まれた。現在、文科省は「経営の透明性」を図るため学校法人への財務情報の一般公開を求めており、情報公開を積極的に行う学校に対し私立大学等経常費補助金の配分で増額措置を行っている。中間まとめでは、この情報公開の進展がない場合、公開を義務化する方向で法的措置も検討するとしている。破たん後の学生への支援については、全員が卒業するまで存続させることを強調。近隣の大学に転学出来ない場合は、私学事業団、文科省にあっせんを要請している。
 来年度から少子化などの影響により、いわゆる「大学全入時代」に突入する。私学事業団によると、昨年度入学定員を確保できなかった私立学校は大学で約三〇%、短期大学で約四一%、高等学校で約七六%にまで達している。入学定員充足率が五〇%以下の私立学校は十七大学、十六短期大学、百七十六高等学校におよび「かなり厳しい状態にある」としている。
 さらに平成十六年度決算で実質的に赤字の学校法人の割合は、大学法人約二五%、短期大学法人約三六%、高等学校法人約四五%となっている。そのうち消費支出が帰属収入を二〇%以上超過している学校法人数は、三十大学法人、十六短期大学法人、四十七高等学校法人。この赤字状態が続くと経営破たんとなる恐れが大きいという。
 昨年には初めて、学生数の大幅な定員割れから経営が破たんし、民事再生法の手続きを申請した大学法人が現れた。

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