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記事2006年6月3日 2024号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
現職教員にも更新制適用
新たな制約を課す
公共福祉の要請で導入必要
【教員養成部会教員免許制度WG】
 教員免許の更新制について議論している中央教育審議会教員養成部会教員免許制度ワーキンググループ(主査=野村新・大分大学名誉教授)は五月二十六日、都内で会合を開き、現職教員にも更新制を適用する方針を固めた。終身資格である教員免許だが「公共の福祉の要請により、新たな制約を課すことは許される」としている。
 免許更新制については、過去の中教審でほかの公務員資格との整合性などを理由に導入が見送られた経緯がある。これまで同部会では、主に教員養成段階においての更新制の導入について議論を重ね、時代に応じ指導内容など刷新(リニューアル)していく必要性から導入の方向性で進んでいた。
 今回は現職教員について既存の免許保有者が当分の間、我が国の公教育の中核的担い手であるとした上で、「教員免許状が終身有効であることは、一つの既得権益でもあるが、必ずしも絶対不可侵のものではなく、公共の福祉の要請により合理的な範囲内で新たに制約を課すことは許容し得る」とし、導入の必要性を提言している。
 また職業資格との関係について、教員は心身の発達段階にある幼児・児童・生徒に対し強い影響力を持ち、適切な公教育を図るという強い公共の要請が認められ、ほかの職業資格における更新制に照らしても、バランスを欠くものではないとしている。なお、公的職業資格の中で更新制を導入しているのは、海技士、水先人、航空機乗組員などがある。
 更新制は所定の講習を受講せず有効期限が経過した場合は、免許状が失効するが、その場合でも所定の講習を受講・修了して申請すれば改めて免許状が交付されることとしている。
 会合では現職教員への更新制適用について、賛成する意見が多くを占めた。また「失効」という表現が厳しすぎるため改めてほしいという意見が多数出た。
 これまでに行った関係団体のヒアリングで私学団体の意見は、更新制の導入について賛否が分かれている。なかでも日本私立小学校連合会は制度導入の場合は現職教員も対象に入れる必要性を強調しており、対象教員の選定および資格審査は私学で実施し、その際の全面的公的助成を求めている。

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