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記事2006年6月13日 2025号 (1面) 
私学経営研修会、青森で開催 学校活性化の事例報告
挑戦と新たな使命
助成法制定当時の労苦、魅力づくりで成果
 「私学の挑戦と新たな使命U――多様性と独自性を展望する」を研究のねらいにした全国私立中学高校私学経営研修会が六月八・九の両日、青森市内で開かれた。研修会初日には、研究のねらいをテーマとするパネル討議が開かれ、宮城、岐阜、広島の三県の私立高校の理事長や校長が学校活性化に向けた教員集団のコンセンサス作りや意欲を引き出す取り組みなどを報告した。いずれの学校も「地域」や「生徒」がキーワードとなって学校の魅力作りで成果を上げていた。

 この私学経営研修会は私立中学高校の経営陣が、就学人口の減少や公立学校との授業料格差など厳しい環境の中で、いかに学校の魅力作りを進め、社会にアピールできるかを検討・協議する場。今年は全国から約百人の私学関係者が出席、三校から学校活性化の取り組みが報告されたほか、躍進著しい青森山田中学・高校等の見学も行われた。さらに日本私立中学高等学校連合会の田村哲夫会長が私立学校を取り巻く厳しい情勢を報告、私立学校は魅力作りのための積極的改革と国民の代表である国会議員に私立学校教育が社会の変化に機敏に対応し、私立学校なしには日本の教育は良くならないことなどを各地で訴えてほしいと呼びかけた。このほか同連合会の堀越克明前会長、九里茂三前副会長が私立学校躍進の原動力である私立学校振興助成法制定前の状況や成立までの抵抗や苦労などを語り、私学教育を良くすることが日本の教育の改善につながること、私学振興の充実に向け私立学校振興助成法の改正の必要性などを強調した。このうちパネル討議では、常盤木学園(宮城県)の松良千廣理事長がコミュニケーションスキルの向上を一つの目標に掲げ、教員を講習会に派遣、それを基にパフォーマンスの授業を行い、生徒の就職率の向上につなげたこと、生徒を顧客として顧客満足のためにさまざま学校改革を行ってきたこと、そのため生徒の評価が教員の処遇に反映していることなどを報告。高山西高校(岐阜県)の下屋浩実校長は学校存続の危機から、進学実績の向上を目指したが、初めに生徒指導の充実に取り組んだこと、無気力感の中で見込みのある教員数人を核に学校改革の検討を行わせたこと、ISO14001の取得や文部科学省の英語教育研究校(SELHi)の指定獲得などの挑戦を通じて活性化を図ってきたこと、生徒が良くなっていけば、教員のモチベーションも向上すること、地域の中での活性化にとことんこだわったことなどを紹介した。武田学園(広島)の武田哲司理事長は、本業を通しての社会貢献を学園の目標に掲げ、地域の要望にも積極的に耳を傾け、生徒が中心となって地域に出かけ、一時的ではなく長続きする社会貢献を目指していること、そうした活動が生徒の心の成長、学校のメディアでの登場回数の増加などにつながっていることなどを報告した。

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