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記事2006年6月13日 2025号 (7面) 
新校長インタビュー (130) ―― 工学院大学附属中学・高等学校
校長 太田 忠之氏
科学技術など高い教育力
科学の楽しさ、体験を大切に
 「教員養成大学で約三十年間、物理学を中心に理科の教育に携わってきました。その間、理数離れの流れを感じていましたが、この十五年ぐらいでそれが一層進み、状況が悪くなりました」
 工学院大学附属中学・高等学校(東京都八王子市)の太田忠之校長は、物理学を指導してきた立場から指摘する。
 「国の発展を支えてきた産業のベースとなっている科学技術を成し遂げたのは、高い教育力」と言い切る太田校長は、「中学・高校生の科学教育に携わることができ、優れた人材育成に貢献できるならと思い、校長職をお引き受けしました」と校長職を引き受けた経緯を語る。
 太田校長の、理数離れに対する見方は厳しい。
 「ヨーロッパでは、土曜日や日曜日となると、科学博物館は家族連れでいっぱいになることから科学技術に対する理解が分かりますが、日本では科学技術への環境といった点では歴史の浅さを感じます。もっと基礎的な部分で科学を理解し重視する必要があります」
 さらに、「科学の楽しさと同時に、結果がうまくいかない体験を生徒たちは積むことが大切だと思います。早急な結果を求めることは、教育とは本質的に相反するのではないか。このバランスが大事だと思います」
 同校は二期制で、学校週六日制を導入し、無駄のない教科編成のもとに、自主教材の利用、シラバスの公開等先進的取り組みを続けている。中学一年から高校一年までは必修科目中心に基礎を完成させ、高校二年で理系と文系に分かれる。高校からの普通コースも同様に二年次から分かれるが、今年四月開設の文理特進コースは二年次までは共通カリキュラムで履修し総合的学力を身につけさせるなど、生徒のニーズに応え丁寧な進路指導を目指す。三月に高校の新校舎が完成し天文台が新設された。太田校長は「天体の問題がきっかけで人類が発展してきた。科学教育の核にしたい」とこの天文台をフル活用するという。平成十四年に男女共学がスタートした。同校は男女共同参画社会に適応できる理科教育を実践していく方針だ。
 太田校長の専門分野は素粒子理論、一般相対性理論、宇宙論。

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