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記事2006年5月3日 2020号 (1面) 
公的年金一元化 基本方針を閣議決定
私学共済保険料率平成39年に18・3%に
 公的年金制度の一元化を進める政府は、四月二十八日、「被用者年金制度の一元化等に関する基本方針」を閣議決定した。
 それによると、公務員共済、私学共済の保険料率(掛金率)が厚生年金の水準を下回っている問題については、平成二十二(二〇一〇)年から、それまで職域部分(三階部分)に対応する保険料として予定されていた部分の保険料率も含めて一・二階部分の保険料率として、その率から毎年、〇・三五四%ずつ引き上げ、公務員共済は平成三十(二〇一八)年、私学共済は平成三十九(二〇二七)年に厚生年金の保険料率一八・三%に統一することとなった。ただし加入者及び学校法人等にとって急激な負担増とならないよう、一・二階部分の新たな保険料負担の一部については、積立金を活用して負担することとなった。また私学共済が別途徴収している年金事務費掛金については、統一される一・二階部分の保険料率に含まれるものとされた。
 さらに私学共済など各共済年金が保有している積立金については、厚生年金の積立金の水準に見合った額に仕分けし、一・二階部分の給付のための共通財源に供する。加えて現行の公的年金としての職域部分については、平成二十二(二〇一〇)年に廃止する。また現行制度に基づく既裁定年金の給付(職域部分)は存続、未裁定者はこれまでの加入期間に応じた給付を行うことを基本とする。私学共済については現行の職域部分に代わる新たな年金を設けることを検討する。その原資には積立金を活用する。積立金の、各共済年金の貸付等の独自運用については、その役割や運用の観点に立った評価等を踏まえ、必要な範囲で確保する方策を講じる、としている。今回の公的年金一元化について私学団体は、私学共済の積立金は私学関係者が過去において厚生年金より高い掛金を支払うなど経営努力の積み重ねによるもので、積立金の仕分け方によっては、日本私立学校振興・共済事業団の私立学校への貸付事業に大きな影響を及ぼすなどとして、私学振興への配慮を政府・与党に要請している。
 積立金の仕分け方など今後の具体策によっては、私学は厳しい状況に立たされる。

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