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記事2006年5月23日 2021号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
留学生交流今後の方向性など意見聴取
 中央教育審議会は現在、大学分科会のもとに制度部会と大学教育部会を設け、有識者からのヒアリングを行い設置基準や学生への支援方策などについて議論している。一方、教員養成部会では専門職大学院と教員免許制度のワーキンググループを設置し教員の資質向上策をテーマに議論を続けている。

国際競争力の強化
高学費、受け入れ態勢整備改善必要

【大学分科会大学教育部会】

 中央教育審議会大学分科会の大学教育部会は五月十五日、都内で会合を開き、留学生交流の現状と課題について江藤一洋・東京医科歯科大学歯学総合研究科教授と谷口吉弘・立命館大学理工学研究科教授が意見発表を行った。江藤教授は「我が国の留学生政策の方向性」と題し発表した。日本の留学生総数は平成十七年五月一日現在で、十二万千八百十二人に上り過去最高となった。出身国別の留学生数は中国が約八万人、韓国が約一万五千人、台湾が約四千人と、この三カ国が多くを占めることやイギリス、オーストラリア等の留学生政策を解説。その上で諸外国の留学生政策について(1)高等教育の国際競争力の強化(2)留学生を確保するための強力な海外拠点網の整備(3)留学生へのジョブマーケットの開放(4)民間奨学金の充実(5)帰国留学生への支援などを指摘した。
 一方、谷口教授は私立大学の留学生戦略について発表した。私大の留学生の特徴として私費留学生が全体の約七割を占めることや、高い学費、留学生の質の確保、受け入れ態勢の整備、大学教育の国際化などを課題に挙げた。そこで、今年二月に設立したNPO法人、日本国際教育大学連合(JUCTe)を紹介した。同連合ではコストの低減を図り、優秀な留学生の確保を目指している。

免許更新10年に一度
10年研修との関係焦点に

【教員養成部会教員免許制度W】G

 中央教育審議会教員養成部会の教員免許制度ワーキンググループ(主査=野村新・大分大学名誉教授)は五月十六日、都内で会合を開いた。
 免許状の有効期限はおおむね十年程度が適当とする方針を固め、今後、十年経験者研修(十年研)の在り方について議論していく。
 これまでの会合の中では、免許状の有効期限については十年という意見が多くを占めていたが、最初の更新については五年とする意見もあった。十年研は平成十四年中教審答申で、免許更新制の代替措置として導入された経緯がある。
 今後、十年研と更新制の二つの制度の在り方が焦点となる。
 委員からは更新制が十年に一度という前提で「十年研は撤退し、むしろ五年研を充実すべき」「実施するかどうかは、各自治体の判断に任せるべき」などの意見が挙がっている。
 また、現職教員への更新制への適用についても今後詰める。
 いまの教員は終身資格として、教員免許を取得しているため、今後、制度的に更新制を導入することが制度的に可能かどうか、これまでの事例や裏付けをもとに探っていく方針だ。

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