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記事2006年4月3日 2017号 (2面) 
公立大学法人が経営教学改革
文科省が調査結果 法人化契機に改革加速
全教員対象に年俸制
大学独自の授業料減免制度も
 平成十六年四月に公立大学法人制度が創設され、現在、首都大学東京や岩手県立大学など七つの公立大学法人が設立されているが、文部科学省は三月十三日、公立大学が、法人化を契機として始めた特色ある取り組みについての調査結果を公表した。それによると、理事長・学長を中心とした意思決定システムの確立や外部有識者の積極的活用、弾力的で柔軟な人事制度の導入、学生支援の充実、地域貢献、産学連携の促進、海外事務所の設置、外国人の役員等への登用などの取り組みが見られた。私立大学では当たり前といえる取り組みで、国公私立大学の垣根≠ェ低くなったといえる。それだけに国公私立大学に対する均衡の取れた公費投入が求められそうだ。

 公立大学は昨年四月現在で七十三校、約十二万五千人の学生数を抱えている。全学生数に占める公立大学学生数の割合は四%強に過ぎないが、進学率の上昇や長引く不況などから在学者数は増加を続けている。
 今回の調査では、七法人の様々な分野の取り組みを報告しているが、このうち理事長・学長を中心とした意思決定システムの確立に関しては五法人が実施していた。各種委員会を「教育・学生支援本部」と「研究・地域連携本部」に統合、責任・権限の明確化と迅速な意思決定を図る(岩手県立大学)。理事長・学長のリーダーシップ実現のため常勤の役員等で構成する執行部会議を設置した(北九州市立大学)。
 また増収や経費節減のための取り組みも七法人全てで見られた。複数年契約の導入や物品の一括購入等により経費節減を図る(横浜市立大学)。給与計算業務、図書館業務、施設管理業務の一部をアウトソーシングした(大阪府立大学)。契約方法の見直し、インターネットを利用した発注についても検討中(長崎県公立大学法人)。人事制度に関しては教員の任期制を導入した法人は六、残る一法人も導入を検討中だ。三法人では全教員を対象とした年俸制を導入。一法人では常勤役員の報酬に年俸制を採用した。裁量労働制を導入した法人は一、また三法人でその導入が検討されていた。このほか厳正な評価制度や業績に対するインセンティブを付与する制度の導入も三法人で行われ、別の三法人ではその導入が検討されていた。学生による授業評価の実施は六法人。このほかほぼ全ての法人で大学独自の授業料減免制度が始まり、地域貢献、産学連携にも積極的に取り組んでいる。

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