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記事2006年4月3日 2017号 (4面) 
平成18年度 近畿圏私立中学入試に異変
私立中学 初の統一入試
大半が入試日を初日に設定 志望校絞り込む
受験者数減少だが 入試難度は上昇
 二〇〇六年の近畿圏私立中学入試は、二府四県で入試日が一月十四日スタートという初の統一入試となり、受験生の動きが大きく変わった。大半の私立中学が試験日を初日に設定しており、受験生が志望校を絞り込んだため、志願者数・受験者数を減らしたにもかかわらず、難度は高くなるという厳しい入試となった。近畿圏の進学塾・浜学園の調べによると、灘など男子最難関校七校の合計志願者数は六千百人(昨年七千五十二人)、合計受験者数は五千五百三十一人(同六千二百四十五人)といずれも減少したが、試験の欠席者が少ないという現象が起きた。一方で、後期入試や難関コースなどで受験者が増えたところもある。また、京都の公立一貫校三校も十四日に入試を実施。男子難関校だった洛南高校附属の共学化などもあって、女子の共学志向が高まったようだ。(編集部)
 今春の近畿圏私立中学入試は、受験生にとっても初の統一入試のため志望校を絞り込んだ第一志望重視の入試となり、受験生の動きが大きく変わった。昨年までは奈良・和歌山の入試日程が京阪神より早かったため、受験生は奈良の結果を見てから、京阪神の私立中学を受験していたが、今年はその受験パターンが崩れた。
 浜学園によると、難関校を志望する生徒の今年の代表的な受験パターンは、まず岡山白陵を受験し、その結果で灘あるいは甲陽学院を受け、次に洛南高校附属もしくは西大和学園の三科目入試を受け、さらに六甲のB日程を受験する。あるいは函館ラサールを受験してから、大阪星光学院もしくは洛星(前期)を受け、西大和学園(四科目入試)を受けて、東大寺学園・洛南高校附属・西大和学園のいずれかを受験し、さらに洛星(後期)、を受ける、という動きだったという。また統一入試の影響で、洛南高校附属が三科目・四科目の選択受験を行い、西大和学園は別日で三科目と四科目入試を実施、甲陽学院は定員を百六十五人から百八十人に増やした。
 府県別で見てみると、京都府では十四日に私立中学十六校が入試を行い、公立一貫校三校も一斉に入試を行った。男子校だった洛南高校附属は、十八年度から共学化するため女子の募集も行い、入試日を十六日に設定、さらに入試科目も三科・四科の選択としたためか、志願者数を六十人ほど減らしただけで受験者数は九百九十九人(うち女子は二百八十五人)と昨年より九十人ほど増加、結果的には関西地区で最難関校となった。同志社は募集人員を減らしたため倍率が上昇。同志社女子と同志社香里も受験者が増加した。洛星は前期・後期合わせて志願者数が昨年より四十人ほど減少したが受験者数はほとんど変わらなかった。ちなみに今春の京都市内の公立中高一貫校の受検者数は、府立洛北高校附属が五百七人(倍率六・三四倍)、市立西京高校附属は九百七十三人(倍率二・八〇倍)(京都新聞1月14日付)だった。南丹市に今春開校する京都府立園部高校附属は百十二人(倍率二・八〇倍)だった。
 大阪府では統一入試の影響を受け、志願者・受験者ともに減らしたところが多かったようだが、一方で後期入試や医進コースといった特定のコースに受験者が集まり、難度が高くなるという傾向がみられた。
 十四日に入試をした大阪星光学院は志願者数こそ約百人減らし六百九十一人だったが、受験者数は六百二十一人(昨年五百六十四人)と五十七人増加し、人気は変わらず高い。高槻も前期は志願者・受験者とも若干増加し、後期は志願者が昨年に比べ微減したとはいえ千二百二十二人の志願者を集め、受験者数も七百十二人とほぼ百人増加した。大阪桐蔭はユニーク入試・前期入試で受験者数が増加、後期入試は志願者・受験者ともに大幅に増加。大谷(大阪)は医進・特進・英語コースの各コースで第一志望と第二志望の併願可とし、さらに日程もそれぞれ一次と二次A・Bと設定して、受験者延べ数で約五百人も増加した。開明も一次後期(併願)と二次で増加。四天王寺は受験者数が若干増加。関西大学第一は志願者が約百四十人増加し難度が高くなった。大阪の場合、全体として志願者数が減少する中で、清風南海のスーパー特進・特進、大阪桐蔭の英数選抜、開明のスーパー理数など、成績上位者を集める特定のコースと後期日程入試では受験者が増加し難度が高くなる傾向だった。

志願者、受験者数の動向
府県で大きく変動


 兵庫県のほとんどの私立中学は十四日に入試を行った。県内男子難関校の人気の高さは変わらなかった。十四日に入試をした灘は、志願者数が五百七十七人(昨年六百二十八人)、受験者数は五百四十四人(同五百五十二人)といずれも減少したが、一昨年、さらにその前年と比べてみると、受験者数では一昨年より増加しており、今年は試験欠席者数が半減した。甲陽学院も志願者数こそ減少したが、受験者は微増。六甲はA日程(十四日・四科目)の志願者・受験者が共に約百人増加、B日程(十八日・三科目)では志願者数が七百五十人(昨年五百一人)、受験者数も三百四十人(同二百九人)と大幅に増加、難度が高くなった。
 女子校は受験生が減少したところが多かったが、その中で親和、神戸海星女子学院は志願者・受験者とも若干増加。甲南女子はA日程で受験者が減少したもののB日程で志願者・受験者とも増加した。
 奈良県は昨年までは近畿圏のうちでも入試日が早かったため、京阪神の受験生が集まり志願者数・受験者数ともに多かったが、統一入試の実施で両者とも大きく減少した。十六日に入試を行った東大寺学園は、西大和学園(三科目入試)、洛南高校附属と入試日が重なり、志願者・受験者ともに大幅に減少した。西大和学園は、本校入試のほか東京・岡山・福岡で県外入試を行ったがやはり減少し、それでも千六百四十四人の志願者と千四百二十五人の受験者を集めた。昨年人気だった帝塚山のコース別受験もやはり受験生が減少した。奈良学園は今年前期A・Bおよび後期入試を行い、昨年ほどの受験者数はなかったものの、合わせて九百人弱の志願者があった。また後期入試は特進コースだけだったが、人数は二桁ながら昨年に比べて志願者が約二倍となり受験者も増加した。奈良では入試日やコース設定などを工夫したが、やはり近畿圏統一入試の影響が大きく出た結果となった。
 ちなみに先述した岡山白陵は、入試日が一月八日だったことから、近畿圏の受験生が集まり、志願者・受験者とも、女子は昨年より約七十人増、男子は約三百五十人増と大幅に増え、非専願の合格最低点を一〇点以上も押し上げた。
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