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記事2006年4月23日 2019号 (1面) 
教育基本法改正の最終報告 与党協議会が今国会提出を要請
私学振興位置づけ
大学や幼児教育等の規定も新たに
 与党教育基本法改正に関する協議会は、四月十三日、国会内で会合を開き、「教育基本法に盛り込むべき項目と内容について」と題する最終報告をまとめた。同協議会は政府に対し速やかに教育基本法改正案を国会に提出するよう要請しているが、現在の通常国会の会期が残り二カ月弱となっていることから、今国会での成立を危ぶむ声も上がっている。また社会民主党、日本共産党は教育基本法の改悪≠ニして強く反発、民主党は教育基本問題調査会で検討を続けており、独自見解をまとめる予定。(「教育基本法に盛り込むべき項目と内容」の全文は3面に)

 与党協議会がまとめた「教育基本法に盛り込むべき項目と内容」は、「前文」のほか、「教育の目的」、「教育の目標」、「生涯学習の理念」、「教育の機会均等」、「義務教育」、「学校教育」、「大学」、「私立学校」、「教員」、「家庭教育」、「幼児期の教育」、「社会教育」、「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」、「政治教育」、「宗教教育」、「教育行政」、「教育振興基本計画」、「補則」の十八項目。
 このうち改正案に新しく条文が盛り込まれることになる「私立学校」に関しては、与党最終報告では、「私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法により私立学校教育の振興に努めなければならない」とまとめており、私立学校の公共性、重要性が強調され、私立学校の自主性の尊重、私学教育の振興を国及び地方公共団体の責務として位置づけるよう求めている。
 また宗教教育に関しては現行法と大きな変更はないが、宗教に関する一般的な教養教育を尊重するよう求めており、世界情勢を知る上で欠くことのできない世界の主要宗教に関する学習などが進むことになりそうだ。
 教育振興基本計画に関する記述も、教育基本法改正法で新たに盛り込まれるものの一つ。与党最終報告では「教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び構ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない」とし、地方公共団体に対しては、基本計画策定の努力義務を課している。
 大学に関しては、学術の中心として高い教養と専門的能力を培い、新たな知見を創造し、これらの教育、研究の成果を広く社会に提供、その発展に寄与することを求めている。そのための自主性、自律性など大学における教育、研究の特性の尊重を強調している。
 幼児期の教育に関しては人格形成の基礎を培う重要なものとして、国及び地方公共団体はその振興に努めなくてはいけないとしている。
 このほか現行法の第二条「教育の方針」については、「教育の目標」と改め、五項目を提示。このうち五番目に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」を盛り込んでいる。
 この愛国心に関する表現については、与党内でもなかなか意見がまとまらず、今回の最終案でようやく調整がついた形となった。

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