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記事2006年4月13日 2018号 (3面) 
中央教育審議会の審議動向
小学校英語小5・6年で週1時間
教科への位置づけ検討
グローバル化の進展に対応
 教育課程の改訂について検討している中央教育審議会教育課程部会(部会長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)は三月三十一日、都内で会合を開き、部会の下に設けられた外国語専門部会より小学校における英語教育について、五、六年生において週一時間程度を英語教育に充てるとする報告を受けた。今後、同専門部会では教科への位置づけなど具体的な検討に入る。

【教育課程部会】
 外国語専門部会の審議では(1)小学校の柔軟な適応力を生かす(2)グローバル化の進展に対応する(3)教育の機会均等を確保する――などの観点が示された。小学校での英語教育の目標については、国際コミュニケーションをより重視する考え方を基本に、小学生の柔軟な適応力を生かし聞く力などの英語スキルを育てることも教育内容として適当としている。
 小学五、六年生の高学年において、年間三十五単位時間(平均週一回)程度について共通の教育内容を設定。その際、領域または総合的な学習の時間として位置づけることとし、教科として扱うことは実施状況を評価しつつ今後の課題として検討するとした。
 指導者は学級担任、もしくは担当教員(英語教育を担当する専科教員らを含む)を想定しており、国が指導者に求められる内容や程度を明らかにすべきとしている。
 一方、同日の会合では委員から賛否別れる意見が相継いだ。「(小学校英語導入により)言語教育が充実していく。国語を削減するということではないので、個人的には(週)二時間でもよいと思う」(無藤隆・白梅学園大学短期大学長)、「財政難になると帰国生徒の受け入れをカット、引き受けなくなる。小学校での英語によりこのスタンスは大きく変わるだろう。(小学校英語を)やるべきだ」(田村哲夫・渋谷教育学園理事長)、「小さな時から(英語を)耳に入れる。基礎体力を付けるという意味ではよいのでは」(佐々木かをり・潟Cー・ウーマン代表取締役社長)、「遅かれ早かれ(小学校英語は)は入ってくるのではないか。むしろ指導要領の総枠がどのようになるのかを考えてほしい」(深谷孟延・愛知県東海市教育長)、「当初は中学からの充実を図るという方針に賛成だったが、仕方なく妥当な線。小学校高学年の一時間はよかったと中学校側、保護者が思えるようにしてもらいたい」(市川伸一・東京大学大学院教育学研究科教授)などの賛成意見が挙がった。
 逆に「一時間程度でどれくらいの感性が磨けるのだろうか。公務員抑制、義務教育費国庫負担制度も削減され条件整備の問題もある。中途半端な気がして仕方ない」(角田元良・聖徳大学附属小学校長)、「英語は非常に大切だと認識しているが、中学校からではなぜだめなのか。大変なエネルギーが必要で、またどこかを必ず削減しなければならない」(小説家・阿刀田高氏)と強調している。

教育課程五つの領域履修
専門職大学院WGで論議


【専門職大学院WG】
 教職大学院の創設に向けて検討している中央教育審議会教員養成部会(部会長=梶田叡一・兵庫教育大学学長)の専門職大学院ワーキンググループはカリキュラムイメージについて議論した。教育課程の編成・実践に関する領域など五つの領域をすべての学生に履修させることなどを示している。今回、第一次試案として示された教職大学院のカリキュラムイメージでは、授業方法は単なる座学を避け学校現場における実際の事例に即して行うことを基本とした。
 クラスサイズは十人から十五人程度を標準とし、すべての学生に履修させるべき授業科目の領域として(1)教育課程の編成・実践に関する領域(2)教科等の実践的な指導方法に関する領域(3)生徒指導、教育相談に関する領域(4)学級経営・学校経営に関する領域(5)学校教育と教員の在り方に関する領域――の五つを示し、(5)以外は専任教員を置くことが望ましいとしている。
 試案では具体的な科目例も示している。「教育課程経営の実践の課題」では、方法として典型的な事例についての実地調査(フィールドワーク)およびそれを踏まえある特定の条件下での複数プランのシミュレーションを行う。
 教育課程編成、時間割編成、学校行事の配置・実施についてや、学校裁量の時間の使い方に関する事例研究などを例示している。

フリースクールで論議
就学義務の履行要件焦点


【初等中等教育分科会】
 中央教育審議会初等中等教育分科会(分科会長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)は三月三十日、都内で会合を開き、フリースクールの在り方や現状などについて議論した。不登校の子供たちの受け皿にもなっているフリースクールだが、今後就学義務の履行として認めるための要件、条件整備などが焦点となる。
 不登校児童生徒は、ここ数年は減少傾向にあるものの平成十六年度は小学校約二万三千人、中学校約十万人となっている。昨年十月の中教審答申において「不登校等の児童生徒について、一定の要件のもとでフリースクールなど学校外の教育施設での学修を就学義務の履行とみなすことの仕組みを検討する」としていた。
 正規学校に籍をおきつつ、フリースクールで相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることは出来る。だが上級学校への入学資格は、正規学校に在籍していれば卒業を認める場合が多いが、在籍しなかった場合は「中学校卒業程度認定試験」に合格しなければならない。諸外国をみてみると例えば「義務教育」はあるが就学義務はないというイギリスやフランスと異なり、日本では義務教育を学校以外で行うことは認められていないのが現状だ。

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