こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2006年4月13日号二ュース >> VIEW

記事2006年4月13日 2018号 (8面) 
ユニーク教育 (156) ―― 神戸常盤女子高等学校
総合的な学習に福祉教育活動
福祉、医療施設訪問など

足利校長

 「本当に多くの卒業生が訪ねて来てくれます。これが私学のよいところだと思います」と、神戸常盤女子高等学校(足利誠薫校長、神戸市長田区)の中川千鶴教頭は顔をほころばせて語る。
 同校は自然豊かな市立観音山公園の西隣、静かで落ち着いた環境に位置している。明治四十一年、家政女学校として創立されて以来、一貫して女子教育に力を注いできた。家族に対するように生徒一人ひとりと親身に向かい合い、心の触れ合いを大切にした、家庭的な温かさのある教育が、同校の校風として息づいている。また、同校は実学を重んじ、きめ細かい指導で常識ある社会人を育成している。これは導入しているコース制にも表れている。
 「普通科」と「家庭科」の二学科制を採用しているが、「普通科」は標準コースと看護医療特進コースに、「家庭科」は服飾コースと調理・栄養コースのそれぞれのコースに分かれ、生徒の興味・関心に応じた授業を展開している。とりわけ、調理・栄養コースでは、多くの実習科目を通じて調理・栄養についての技術を磨き、新しい知識を身につけている。十七年度には新たに第二調理室を設置し、調理技術の習得に力を入れている。
 標準コースは特に進学意欲が高い生徒のための「特進コース」「進学コース」および「総合コース」に分かれる。
 普通科・看護医療特進コースは併設の神戸常盤短期大学看護学科・衛生技術科への進学や、その他の看護医療系大学・短大・専門学校への進学を目指すコースだ。
 「このコースは人気があります。神戸常盤短大の看護科へ特別推薦入試制度で進学ができるということも影響しているのでしょう。一期生が大きな成果を挙げてくれました」
 同校の特色教育として挙げなければならないのが、「総合的な学習の時間」で地道に実践している福祉教育活動だ。献血運動、福祉施設・医療施設の訪問のほか、校内で集めた文房具をアジアの発展途上国に送る活動なども行っている。福祉施設や医療施設への訪問は、「かなりの労力を使い、大掛かりなもの」(中川教頭)となっている。普通科一年生の生徒全員が二日間にわたって、地域にある施設に三〜六人に分かれて出かけていく。施設ではどのようなことを行っているのか、何を作って販売しているのか、何が足りないのかなど、多くのことを学ぶ機会を得ることができる。
 「二年生になったら施設で販売しているものが生徒のアイデアで新製品として完成したこともありました。現場で体験させることは最も大事なことと思っています」
 施設との交渉が大変だったが、社会福祉協議会の協力の下に、行うことができた。この福祉教育活動にも実学志向をうかがうことができる。
 クラブ活動は活発で、各種大会で実力を発揮している部がある。ソフトボール部は過去に全国優勝という輝かしい経歴がある。近年ではアンダー19、日本代表に選ばれた選手がオーストラリア遠征に参加した。また、卒業生がアテネオリンピック日本代表となった。バスケットボール部は兵庫県大会優勝、国体出場の実績を持つ。またバトントワリング部は、各種バトンコンテストで金賞等優秀な成績を収めている。また、全国高等学校総合文化祭、近畿高等学校総合文化祭兵庫県代表に度々選ばれている。
 同校は再来年、百周年を迎える。卒業生からは、充実した三年間だったという熱いメッセージが届いている。


家庭科では豊富な実習で専門性を身につける

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞