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記事2006年3月23日 2016号 (1面) 
熱を帯びる地方分権改革、私学振興への影響も懸念
次々と検討会議発足
 三年をかけた三位一体の改革は昨年十一月、一応の決着を見たが、今年に入り再び地方分権改革論議が熱を帯びてきた。一月、地方六団体は新しい分権構想を検討する委員会を、総務省は地方分権の新ビジョンを話し合う懇談会を設置、小泉首相の経済財政諮問会議も審議を開始した。いずれも国と地方の役割分担の見直しや地方交付税措置を含む地方行財政制度の抜本的見直しなどが課題で、小泉政権最後の今年六月の「骨太の方針」に向け再び国と地方で熱い議論が展開されそうだ。

 全国知事会など地方六団体が設置したのは、学識経験者やマスコミ関係者らを委員とする「新地方分権構想検討委員会」。東京大学大学院経済学研究科の神野直彦教授が委員長を務める。一年後をめどに地方分権の新ビジョンを打ち出す予定だが、平成十九年度以降の政府予算に影響を及ぼす今年六月の政府の「骨太の方針」に照準を合わせ財政面の分権論議を先行させ五月初めには第二期分権改革に向けた提言をまとめる予定だ。三月七日までに四回の委員会が終了、使命にあわせて国と地方の税金の配分のあり方、具体的には消費税の配分見直し、地方交付税制度が何を実質的に保障するのか、国庫補助負担金改革、道州制などが話し合われている。地方六団体は先の三位一体の改革では三兆円の税源移譲を実現したが、地方の創意を生かす自由度の高い形での移管が行われなかったことや財政論に終始したことなどから不満が残り、人口の減少、地域間格差の拡大など社会の急激な変化の中で柔軟な分権構想の検討を開始した。
 一方、竹中平蔵総務大臣の下に設けられた「地方分権二十一世紀ビジョン懇談会」は学識色が強く、政策研究大学院大学の大田弘子教授を座長に、国と地方の役割分担の見直し、地方の責任の明確化(破たん・再建法制の検討)、不交付団体の増加目標などの検討を続けている。六月までには提言をまとめる予定。五回目の三月十五日の会合では将来の三位一体像(国庫補助負担金・規制、税、地方交付税)等を議論している。さらに経済財政諮問会議でも地方交付税など地方の行財政制度の抜本的改革、国と地方の事務配分の見直し、補助金の見直しなどが検討されている。こうした国と地方の役割分担や国庫補助負担金・地方交付税制度の見直しは国や地方の私学振興策に大きな影響を及ぼしかねない。私学関係者にとって六月まで目が離せない状況が続きそうだ。

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