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記事2006年2月3日 2011号 (1面) 
特区における研究開発学校を全国で実施
特区評価委が20年度から実施の方針決定
教育課程の基準大幅弾力化
校地・校舎自己所有要件撤廃
 構造改革特別区域推進本部の評価委員会(委員長=八代尚宏・国際基督教大学教授)が一月二十六日、東京都内で開かれ、特区に限り認められている教育課程の基準によらない教育課程の編成や実施を可能とする「研究開発学校設置事業」や、「校地校舎の自己所有を要しない学校設置事業」等について、規制を撤廃し全国で実施する方針を決定した。これらの規制撤廃について文部科学省も予防措置等により弊害は防げると全国実施に同意しており、学習指導要領等の教育課程の基準によらない教育課程の編成・実施について平成十九年度中に学校教育法の一部改正など制度改正の後、平成二十年度当初から実施の予定。一方、株式会社の学校設置事業の全国実施に関しては、弊害の有無について現時点では判断できないことから、結論を一年先送りすることになった。

 構造改革特区での特例措置については、評価委員会が規制所管省庁とともに規制を外し全国実施した場合の弊害の有無を調査しているが、一月二十六日に開かれた評価委員会では十六の特例措置が検討され、その結果、十一の特例措置について全国実施の方針が決まった。評価委員会は、翌日付でこれら評価意見を小泉純一郎本部長(首相)に提出、同本部は二月中旬に正式決定の予定。
 全国実施の方針が決まった特例措置のうち文部科学省関係は、(1)構造改革特別区域研究開発学校設置事業(2)構造改革特別区域研究開発学校における教科書の早期給与特例事業(3)校地・校舎の自己所有を要しない小学校等設置事業(4)校地・校舎の自己所有を要しない大学等設置事業の四件。
 その一方で学校設置会社による学校設置事業、市町村教育委員会による特別免許状授与事業については引き続き弊害の有無を調査し一年後の平成十八年下半期に評価を行うことを決めた。
 構造改革特別区域研究開発学校設置事業は、学校種間のカリキュラムの円滑な連携や教科の自由な設定等、教育課程の基準によらない教育課程の編成・実施を可能とするもの。こうした特例措置は現在、栃木県今市市や石川県金沢市など六十七の自治体で実施中だ。
 教育課程の基準の見直しについては、文部科学省は中央教育審議会を中心に現在検討を進めており、弾力的な教育課程の編成を可能とする方針。今回の特例措置の全国実施はそうした見直しの中で行われる予定。小中学校等の学校間の連携や学校・地域の特色を生かした教育課程の編成・実施が広がる見通し。さらに関連の「教科書の早期給与特例事業」の全国展開により所属学年以外の学年用教科書を使用する必要がある場合、上学年用の教科書を下学年の児童生徒に早期に無償給与できるようになる。ただし特区研究開発学校設置事業では課題も確認されていることから、文部科学省では全国実施に当たって必要最小限の要件を課し、同時に弊害を避けるための必要最小限の予防措置をとる予定。

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