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記事2006年2月3日 2011号 (2面) 
初任者教員研修事業着々定着
日本私学教育研究所が実施して15年目
新任教員の研修に高い評価
保護者の声聞く研修も重視
 財団法人日本私学教育研究所(佐藤早苗理事長)が中心となって進めている私立学校での初任者研修事業が、開始十五年目を迎え私立小・中・高校に定着、私立学校の新任教員らが抱えるさまざまな課題にも敏感に対応していることもあり、参加した教員らの評価も良好だ。
 同研究所が文部科学省の補助金を受けて実施している初任者研修事業は地区研修会と全国研修会に分けられるが、地区研修会は、今年度、五月の「関東地区(東京都)」を皮切りに八月下旬までに十四地区(小学校教員対象の三地区研修を含めて)で実施された。地区研修会の参加者数については、当初、全地区を合わせて一千二百八十人を見込んでいたが、最終的な参加者数はそれを大きく上回る千四百七十二人(中学高校が一千三百六十三人、小学校が百九人)を数えた。十月、東京・八王子市の同研究所で行われた全国研修でも八十人の予定に八十一人が参加した。
 初任者研修への参加者数が増加している背景には就学人口の減少をにらんで非常勤の教員の採用が増えている事情もあるが、公立学校を退職して私立学校に初めて勤務するベテラン教員の私立学校教員としての意識改革や教育現場が抱えている今日的課題などを見据えた研修プログラムが新任教員を送り出す側の私立学校の評価を高めているようだ。昨年末、都内で私立学校初任者研修地区運営委員全国会議が行われた。この会議は各地区で初任者研修の企画実施等を担当する地区運営委員が、各地区で実施した初任者研修の成果や課題等を交換、今後の充実策を話し合うもの。その中では生徒の保護者の声を直接、新任教員に聞いてもらうプログラムへの関心が高まっていることなどが明らかになった。各地区からの実施状況報告では、「地元の私立学校を訪ねての臨地研修やスポーツ栄養学に対する関心が高かった」「学校における人間関係でパネル討議を行った」「今年の目玉として保護者に研修に参加してもらい教員への注文など保護者の思いを話してもらった」「(参加教員同士の)経験交流会が盛り上がった」「保護者の願いを直接聞いた」「新任教員の保護者との関わりに関する悩みが目に付いた。高機能自閉症的な子供への対応も課題」「初任者研修に父兄を集める工夫を教えてほしい」などの声が聞かれた。このほか「校歌を歌い、学校のPRをしてもらい愛校心を確認させてもらった」との研修もあった。
 十八年度の研修計画でも「保護者の話を聞くのもいい。検討したい」「学習指導、生徒指導に絞って分散会を行いたい。参加者には事前にレポートを提出させたい」といった研修内容に魅力を持たせたいとの実施側の熱い思いが相次いだ。私立学校は学校ごとの独自性が強いため、横の繋(つな)がりが比較的希薄。それだけに同じような悩みを抱える教員が地域や学校を超えて腹を割って話し合う経験交流会への参加教員の評価はもともと高く、先輩教員との交流も教員の力量形成に大きな戦力≠ニなっているようだ。

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