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全私学新聞

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記事2006年2月23日 2013号 (1面) 
年金一本化に全私学連合が要望
私学共済私学振興に重要
これまでの経営努力等が私学共済の健全財政築く
急激な掛金引き上げ重荷
積立金は私学への貴重な貸付資金


 政府・与党は現在、私学共済を含む共済年金制度を厚生年金制度に合わせる方向で「(被用者)年金の一元化」の検討を続けているが、政府が四月末にも閣議決定する一元化に関する基本方針の内容によっては、私学共済制度、私学振興への大きな打撃は避けられない見通しだ。危機感を強める全私学連合(安西祐一郎代表)は政府・与党に、私学共済制度がわが国の私学振興に果たしている役割の大きさや、過去における私学関係者の経営努力等が現在の私学共済の健全財政に繋がっていることなどを説明、掛金率の改定等では学校法人や加入者の急激な負担増とならないことなどを強く要請している。(全私学連合の要望別掲)

 被用者年金の一元化問題は、民間の「厚生年金」と「国家公務員共済」、「地方公務員共済」、「私学教職員共済」の三共済制度に関して、保険料と給付水準の格差をなくそうというもの。財政単位が大きくなれば、財政の安定化に繋がるという狙いもある。このうち掛金率の改定に関しては、厚生年金は平成二十九年度までに保険料率が一八・三%(上限)となるが、私学共済等の保険料率をいつまでに厚生年金水準に持っていくかによっては、学校法人、私立学校教職員に大きな負担がのしかかることになる。政府では加入者や事業主の負担増が急激なものとならないよう配慮が必要としながらも、一方で、できる限り速やかに厚生年金の水準に統一するよう検討するとしている。私学共済の掛金率は現在、厚生年金を下回る水準だが、二十二年四カ月、厚生年金を上回る水準だったことや事務掛金等を別途徴収していること、年金保険料を年金以外に一切使わないなどの経営努力の積み重ねがそうした健全財政を生み出した。
 またそうした経営努力は積立金(十六年度末で約三兆二千億円)にも現れている。年金一元化では、積立金に関しては、一・二階部分(国民年金〈基礎年金〉・報酬比例年金)とそれ以外に仕分けして一・二階部分については共通財源とする方向だが、私学共済など共済年金の場合、三階部分(企業年金)に当たる職域相当部分も含んでおり、一・二階とそれ以外の仕分け方によっては、職域部分支給額の削減、保有資産を元に実施されている私立学校への貸付事業(平成十六年度末で貸付金残高三千六百四十三億円)でも大きな影響は必至で、老朽校舎の建て替えなど施設設備の整備が後退することになる。厚生年金にならって私学共済でも職域部分が廃止されれば、私学共済年金としては負担増・給付減ということになる。私学共済の三階部分については、国共済、地共済の検討状況を踏まえ検討されることになる。共済制度の公的年金方式(強制・賦課方式)としての職域部分については廃止の方向などが検討されている。
 こうした状況の中で全私学連合は政府・与党関係者への私学側要望の説明を続けており、二月十五日には、自由民主党の中川秀直政調会長に面会、また同日、与党・公明党政務調査会の関係部会のヒアリングに出席し、年金積立金が私学への貸付資金として活用され、重要な役割を果たしていること、公務員共済とは異なり、税金からの投入はないことなどを説明、私学共済の特殊性への理解を訴えた。

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