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記事2006年2月23日 2013号 (1面) 
年金一元化に係る私学からの要望 (全文)
私共済は私学振興に不可欠
私学関係者の努力に配慮を
 私学共済制度は、教育基本法の趣旨等に則り、学種や規模の違いを超えて、幼児教育から高等教育までを担う私立学校(専修学校・各種学校を含む)の全加入者に対して、年金給付事業、医療給付事業及び福祉事業を一体的・総合的に運営し、さらに年金資産を学校法人に対する主要な財源として貸し付けるなど、我が国の私立学校教育の振興のために不可欠な制度として定着している。私学共済制度の発展と安定は、我が国の学校教育に重要な役割を果たしてきた私学の発展による加入者増や、過去において他の年金制度に比して高い掛金を負担するなど、学校法人及び加入者の営々たる努力によって今日の良好な財政状況を築いてきた。
 今般の被用者年金制度の一元化に係る検討を進めるに当たっては、このような私学共済制度が我が国の私学振興に果たしている重要な役割や過去における私学関係者の多大な経営努力等を十分に踏まえなければならないと考える。ついては、特に以下の諸事項について、特段の配慮を求める。

                                          記

 1 掛金率の改定について
 例え厚生年金保険料率と整合性を図るにしても、私学共済掛金率を改定するに当たっては、学校法人や加入者の急激な負担増とならないように、十分に配慮すること。
 被用者年金制度の一元化による、私学共済掛金率の更なる大幅な引上げは、学校法人や加入者にとって、急激な負担増となって大変な重荷となる。特に事業主である学校法人の負担の増加は、学生等の父兄が学校に対して負担する授業料等納付金の値上げに直結することになり国民に対する影響も大きい。
 2 積立金について
 積立金については一・二階部分とそれ以外に仕分けし、一・二階部分については共通の財源とする方向で検討されていると聞く。
 (1)仕分けについて 積立金の仕分けに当たっては、私学におけるこれまでの経営努力を反映するとともに、私学共済において職域部分の給付等今後とも私学の振興及び教職員に対する支援事業を行うに必要な十分な額を確保すること。
 私学共済制度における年金積立金は、平成十六年度末で三兆二千億円であり、これは過去において厚生年金の二倍以上の掛金を徴収したり、事務掛金等を別途徴収するなどして年金保険料を年金給付以外に一切使わないなどの私学の努力の積み重ねによるものである。また、基礎年金国庫負担金など限定されたごく一部を除いて基本的に税金が投入されておらず、学校法人と加入者の負担で賄われている私学共済年金にあっては、積立金は、一元化後の職域部分の運営にあたっての貴重な財源となるものである。
 (2)管理・運用について 仮に積立金のうち一・二階部分として仕分けされたものが共通財源化された後でも、私学への貸付財源を確保するとともに、貸付事業が現行どおり私学共済制度の下で管理・運用ができるようにすること。
 私学共済制度における年金積立金は給付費用のほかに学校法人への貸付資金として私学振興を支える役割を担っていることから、積立金の仕分けや共通財源化に伴い貸付事業ができなくなる場合には私学における施設設備の整備等が円滑にできなくなることも考えられ、私学振興の後退となる。
 3 職域部分の確保について
 一元化後においても、職域部分(あるいは企業年金に見合う三階部分)については、引き続き私学共済制度の下で現行の水準が確保されるようにすること。
 私学共済年金における職域部分は、年金給付水準を国公立学校の教職員に準ずるものとする制度設立の趣旨を踏まえて措置されているものであるが、その財源として税金からの投入は一切なく、学校法人と加入者の負担で賄われているものである。また、教職員数が少ない小規模学校もカバーした企業年金の代替的な役割を果たしている。さらに、仮に職域部分が廃止された場合には、私学共済年金としては負担増・給付減となり、私学関係者の理解は得られない。

全私学連合
(日本私立大学団体連合会・日本私立短期大学協会・日本私立中学高等学校連合会・日本私立小学校連合会・全日本私立幼稚園連合会)

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