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記事2006年12月3日 2050号 (1面) 
株式会社立学校 全国展開評価は一年先送り
様々な課題の判明受けて
 政府の構造改革特別区域推進本部評価委員会は、十一月二十八日、都内で委員会を開き、現在、特区でのみ認めている「学校設置会社による学校設置事業」(=株式会社による学校設置)について検討した結果、「依然、全国展開の可能性を検証する段階に至っていない」と判断し、更に一年間調査研究を進めていく方針を決めた。株式会社立学校の全国展開の評価は、今回で四回目。

 文部科学省の調査結果によれば、法律で定められた各学校の事後評価が実施されていないか、実施されているとは言いがたい状況で、現在の教育研究活動について適切に分析する材料を欠いている。一部の学校設置会社に、特区法で義務付けられた業務状況書類等の公開体制の不備など不適切なガバナンスなどの様々な課題が確認された。
 実際現地調査を行った評価委員会教育部会も、株式会社立学校には様々な問題があることを認めており、それが株式会社立であることによる弊害なのか検討が必要としているが、同時にそれらを分けて議論することは難しいとも話している。
 学校設置会社の中には学校法人に設置形態を転換したいとの意向もあることから、評価委員会の八代尚宏委員長は、「学校法人制度の柔軟化というやり方もある。評価委員会でも(そのことを)議論すべきだ」と語った。評価委員会の調査によると、株式会社立学校の大半は赤字経営で、最も多くの学校を展開するLECでは十億円近い赤字を計上している。
 また株式会社立学校は特区を実施する自治体が後見役となっているが、その自治体が学校の実態や経営内容について把握していないケースがあり、評価委員会教育部会の金子郁容部会長も「自治体が知らないということがよくある。目に余る」と話している。
 このほか十一月二十八日の評価委員会では私学審議会の存在が取り上げられた。内閣官房構造改革特区推進室からは、私学審議会の委員は各都道府県知事が決めるように法律改正されたことが説明されたが、知事によっては依然私学関係者を多く委員としていることも考えられるとして、一定割合以下にすべきだといった意見も出された。

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